▶ 防火対象物点検

防火対象物点検とは

防火対象物点検は、特定の用途に使用され、一定の規模・構造を有する建物の管理権原者が、火災予防に関する高度な知識と経験を有する者である防火対象物点検資格者に定期点検させ、その結果を所轄消防署または消防署長に報告する制度であり、消防法第8条の2の2に基づいて規定されています。

 

この制度は、平成13年に新宿歌舞伎町ビル火災で発生した死者44名を出す悲惨な火災を受け、防火管理の不徹底、防火・避難設備不備に加えて、建物使用の用途が多様化・複雑化しており消防機関だけでは実態の把握が難しいと結論付けられた為、管理権限者の責任において行わなければならない防火管理業務等を、防火対象物点検資格者によって専門的な観点から補強することが目的です。


■ 防火対象物点検・報告の義務がある建物


防火対象物点検の点検報告の義務が生じる建物は、その「使用用途」と「収容人員」及び建物の「構造」によって規定されています。

 

収容人員が300人以上の特定防火対象物

防火対象物点検 収容人員

建物の収容人員が300人以上で、かつ建物が以下の「特定防火対象物」の用途に該当する場合は防火対象物点検・報告の実施義務が生じます。

 

【特定防火対象物に該当する用途(消防法施行令別表第一)】

  • 劇場・映画館など、公会堂又は集会場
  • キャバレー・遊技場・性風俗店舗・カラオケボックス等
  • 料理店・飲食店、百貨店等、ホテル・旅館等
  • 病院・老人短期入所施設・デイサービス・特別支援学校等
  • 蒸気浴場等、地下街
  • 上記の用途が含まれる雑居ビル等の複合用途防火対象物

収容人員が30人以上300人未満の防火対象物

防火対象物点検 実施義務

建物の収容人員が30人以上300人未満で、以下の条件に当てはまる場合は防火対象物点検・報告の実施義務が生じます。

  • 特定防火対象物に該当する用途が、「避難階(直接地上へ通じる出入口のある階)以外」にあるもの
  • 「避難階(直接地上へ通じる出入口のある階)以外の階」から、避難階または地上に直通する階段が1つしか無いもの(※屋外階段を除く)

また、階段が2つある場合でも、間仕切り等によって一つの階段しか利用できない場合も防火対象物点検・報告の実施義務が生じます。


収容人員が10人以上30人未満の「(6)項ロ」

老人ホーム 防火対象物点検・報告

建物の収容人員が10人以上30人未満でも、以下の条件に当てはまる場合は防火対象物点検・報告の実施義務が生じます。

  • ①消防法施行令別表第一の(6)項ロ 老人短期入所施設等の用途で使用される防火対象物もしくは(6)項ロ 老人短期入所施設等の用途がある(16)項イ 複合用途防火対象物で、その部分が「避難階(直接地上へ通じる出入口のある階)以外の階」にあるもの
  • ②上述した条件に該当し、かつ「避難階(直接地上へ通じる出入口のある階)以外の階」から、避難階または地上に直通する階段が1つしか無いもの(※屋外階段を除く)

※(6)項ロに用途変更した収容人員10人以上の建物は要注意!


■ 防火対象物点検の内容


防火対象物点検 基準

防火対象物点検時に確認する事項は、以下の通りです。

  1. ✅防火管理者や消防計画、自衛消防組織設置の届出が所轄消防署へされているか
  2. ✅消防計画に基づいて防火管理が適切に行われているか
  3. ✅統括防火管理に係る届出がされているか(管理権原が分かれている防火対象物)
  4. ✅避難通路・避難口及び防火戸が適切な状態にあるか
  5. ✅防炎物品の使用がされているか
  6. ✅液化石油ガスや圧縮アセチレンガス等の消火活動上重大な支障を生ずるおそれのある物の届出がされているか
  7. ✅消防用設備等が設置され、必要な届出がされているか

■ 防火対象物点検の点検時期


消防法施行令第4条の2の2にて「防火対象物の管理権原者は、防火対象物点検資格者に1年に1回点検をさせ、その結果を所轄消防署へ報告しなければならない。」と規定されています。

 

ただし、所轄消防署への申請に基づいて「特例認定」を受けた防火対象物に関しては、その点検・報告の義務を3年以内に限り免除できるとされています。

 

左:防火基準点検済証、右:防火優良認定証
左:防火基準点検済証、右:防火優良認定証

【◎特例認定の要件】

  • ✅防火管理者の管理権原者が、当該防火対象物の管理を開始してから3年以上経過していること。
  • ✅過去3年において消防法令違反をしたことにより命令を受けていたり、防火対象物点検の結果が基準に適合していない等に該当しないこと。
  • ✅消防用設備点検・報告がされていること。

上記の条件に当てはまる場合、防火対象物点検報告特例認定申請書に必要な書類を添えて、所轄消防署へ申請する事で、特例認定を受けて点検周期を長くすることが可能です。


■ 防火対象物点検の流れ


防火対象物点検 大阪

以下の手順で、防火対象物点検を進行していきます。

  • ①弊社ホームページ “” より、お問合せ下さいませ。
  • ②建物情報を頂き、それに基づき見積り作成(※無料)。
  • ③点検日程を調整し、作業案内のチラシを配布します。
  • ④防火対象物点検資格者による点検を実施します。
  • ⑤点検結果報告書を作成し、お客様に署名・捺印頂きます。

関連ブログ

特定一階段“等”防火対象物

特定一階段(とくていいちかいだん)
特一(とくいち)や特定一階段(とくていいちかいだん)とも。

特定一階段等防火対象物 の意味を簡単に言いますと、「地階や3階以上の階に特定用途があって、そこから避難階までの階段が1つしかない防火対象物」の事を指しており、消防用設備の設置基準が他と少し異なります。🚫(;´Д`)❕

 

つまり、不特定多数の人が利用する危険性の高い用途が地上から離れた階にあって、階段が1つしかないと逃げ遅れる可能性が高いので名前つけて厳しめの規制を適用しましょう、となっているわけです。🏢💦

 

最近(5)項イ の民泊などが建物の上階に入り、“特一” になる防火対象物が増えているので、ここに注意を纏めておきます。📝✨

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はじめての防火対象物点検

防火対象物点検をする事になったオーナー様
防火対象物点検をする事になったオーナー様へ…。

消防署の立入検査が入り、実は防火対象物点検を実施し、報告書を提出しなければならなくなった…というお客様の為に本記事を書かせて頂きます。📝

 

そしてお客様にとっては、急に「防火対象物点検」という聞いたこともないワードに戸惑われる方も多いかと思いますから、以下の簡単なポイントについて抑えていきたいと思っています。🎱

✍(´-`).。oO(では…、、続きをご確認下さいませ…。。)

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防火対象物点検の概要

防火対象物点検資格者青木防災
防火対象物点検は専門的知識を有する防火対象物点検資格者に。

防火対象物点検” という消防用設備点検とは異なる点検報告の義務が、防火対象物全体の収容人員や、用途によって生じる場合があります。

 

防火対象物点検は、防火対象物の火災の予防に関し専門的知識を有する防火対象物点検資格者に行わせなければなりません。

 

(´-`).。oO(防火対象物点検資格者は、総務大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習を修了し、免状の交付を受けた者のことです…。。)

 

また、特例認定という点検が免除される規定もあります!

詳しくは[続き]に記していきます。……✍(´-`).。oO

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参考資料

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防火対象物点検結果報告書.doc
Microsoft Word 40.5 KB
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防火対象物点検票(その1~その5).doc
Microsoft Word 214.5 KB
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防火対象物点検票(市町村長が定める基準 その1~その3).doc
Microsoft Word 219.0 KB
ダウンロード
防火対象物点検報告特例認定申請書_大阪市.pdf
PDFファイル 87.7 KB