第3 設置場所及び設置方法


設置場所及び設置方法は、令第24条第4項及び規則第25条の2第2項第2号から第6号までの規定によるほか、次による。

 

1 増幅器等


(1) 設置場所 

  • ア 増幅器等は、避難階、その直上階又は直下階に設けること。ただし、壁、床及び天井を不燃材料とし、開口部に防火戸を設け、かつ、安全に避難できる場所に設置する場合は、この限りでない。
  • イ 分割型増幅器等の増幅器及び操作部は、同一室内に設けること
  • ウ 温度若しくは湿度が高い場所又は衝撃、震動等が激しい場所その他増幅器等の機能に影響を与える場所には設けないこと
  • エ 操作上障害とならないよう自動火災報知設備の基準(図2-1-1)の例により有効な空間を確保すること
  • オ 自動火災報知設備の受信機又は副受信機と同一の場所に設置すること

(2) 設置方法 

  • ア 増築等が予想される場合は、増幅器等に余裕回線を残しておくこと
  • イ 自動火災報知設備が設置されている場合、令第24条第3項に掲げる防火対象物にあっては、放送設備に起動装置を設ける場合にあっても自動火災報知設備と連動させること
  • ウ 自動火災報知設備と連動する場合は、無電圧メーク接点により相互の機能に異常を生じないものであること
  • エ 増幅器の出力とスピーカー等の合成インピーダンスは、次式Aを満足し整合(インピーダンスマッチング)したものであること。ただし、増幅器の定格出力時の音声信号電圧が100Vに統一されたものは、次式Bによることができる。 

A 算定式 

 

P ≧ E²/Z₀

 

P:増幅器の定格出力(ワット) 

E:スピーカーの回路電圧(ボルト) 

Z₀:スピーカー等の合成インピーダンス(オーム) 

 

(参考)

Z0の求め方

  • ア スピーカー等が並列接続の場合
スピーカー等の合成インピーダンス 並列接続の算定式

Z1~Zn:スピーカー等のインピーダンス(オーム)

  • イ スピーカー等が直列接続の場合

Z₀=Z₁+Z₂+Z₃+………+Zn 

 

B 算定式 

 

P≧S 

 

P:増幅器の定格出力(ワット) 

S:スピーカーの入力の合計(ワット) 

  • オ 警報音の鳴動方式は、次によること 

(ア) 自動火災報知設備と連動する場合 

  • A 出火階が2階以上の場合にあっては出火階及びその直上階、出火階が1階の場合にあっては出火階、その直上階及び地階、出火階が地階の場合にあっては出火階、その直上階及びその他の地階全部に限って放送することができるものであること
  • B 階段、傾斜路、エレベーターの昇降路その他これらに類するたて穴部分に設置された感知器(エレベーター機械室に設けられる感知器で、エレベーター昇降路を警戒するものを含む。)が作動した場合は、Aによらず当該部分が鳴動すること 

(イ) 操作部の各スイッチの手動操作による場合 

  • A 一斉スイッチを操作することにより、全館に放送できること
  • B 放送階選択スイッチを操作することにより、任意の階又は部分に放送できること 
  • カ 1の防火対象物において業務用の放送設備が独立して設けられている場合にあっては、火災の際業務用の放送は遮断するものとすること。ただし、放送設備の警報音が有効に聞こえる場合はこの限りでない。
  • キ 地震等の震動による障害がないように堅ろうに、かつ、傾きのないように設置すること
  • ク 規則第25条の2第2項第3号ヲに規定する「操作部又は遠隔操作器のある場所相互間で同時に通話することができる設備」とは、自動火災報知設備の基準(第3.7)に適合するものであること
  • ケ 放送階選択スイッチの部分には、当該スイッチの操作により警報を発する階又は部分の名称が適正に記入されていること
  • コ 2.(3).イからオまで及び同項(9)により、スピーカーの回線が階ごとに設けられていないものにあっては、操作部の付近に警報を発する階又は部分の一覧図を備えること
  • サ 自動火災報知設備が設置されている防火対象物にあっては、放送設備のマイクスイッチを入れることにより自動火災報知設備の地区音響装置の鳴動が停止し、また、マイクスイッチを切ることにより再び地区音響装置が鳴動すること
  • シ 感知器発報放送が起動してからタイマーの遅延により火災放送を開始するまでの時間(以下「火災放送移行タイマー」という。)は、原則として、防火対象物全体にスプリンクラー設備が設置されている場合は5分以内とし、それ以外の場合は3分以内とすること
  • ス 規則第25条の2第2項第3号チに規定する「一定の時間」とは、出火階及びその直上階からの避難が完了すると想定される時間等を考慮し、かつ、防火対象物の用途、規模等並びに火災確認に要する時間等を考慮して、最大10分以内の時間(火災放送移行タイマーの時間を含む。)で設定できるものとする。
  • セ 全域放出方式の不活性ガス消火設備又はハロゲン化物消火設備の音響警報装置から音声メッセージが発せられている間は、当該防護区画及び隣接部分(隣接部分にあっては不活性ガス消火設備のうち二酸化炭素を放出するものを設置する場合に限る。)については、放送設備の鳴動を自動的に停止し、又は設置位置、音圧レベルの調整等により、音声メッセージ等の内容の伝達に支障をきたさないよう措置すること
  • ソ 音声警報メッセージは、次によること

(ア) メッセージは次の文に準ずるものとすること 

  • A 感知器発報放送 

「ただいま○階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので、次の放送にご注意下さい。」 

  • B 火災放送 

「火事です。火事です。○階で火災が発生しました。落ち着いて避難して下さい。」 

  • C 非火災報放送 

「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心下さい。」 

 

(イ) 外国人が多数利用する防火対象物で、(ア)に定めるメッセージでは情報を十分に理解することが難しいと想定されるものにあっては、当該防火対象物の利用形態、管理形態及び利用する外国人の特性等の実態に応じて、次により措置すること 

  • A 日本語メッセージの後に、原則として英語のメッセージを付加すること。ただし、当該防火対象物の実態等に応じて、中国語(北京語の発音と北京語を含む北方方言の文法、語彙を基礎とする共通語をいう。)、韓国語その他の外国語を英語に代えて、又は、日本語と英語の後に付加しても差し支えないこと
  • B メッセージの繰り返し時間が必要以上に長くならないよう、4ヶ国語以内とし、告示第6号第4第4号(1)に規定する放送の1単位を感知器発報放送及び非火災報放送にあっては60秒、火災放送にあっては90秒を目安として、できる限り短くすること
  • C 感知器発報放送、火災放送及び非火災報放送で使用する外国語は同一のものとすること
  • D メッセージは努めて理解しやすい表現とすること 

(ウ) 放送設備が階段、傾斜路、エレベーターの昇降路その他これらに類するたて穴部分の感知器(エレベーター機械室に設けられる感知器で、エレベーター昇降路を警戒するものを含む。)の作動により起動した場合又は手動により起動した場合は、火災が発生した場所に係るメッセージを入れなくても差し支えないものとする。 

 

 

2 スピーカー


(1) 音響効果を妨げる障害物がない場所に設けること 

 

(2) 温度又は湿度が高い場所に設けるスピーカーは、使用場所に適応したものであること 

 

(3) スピーカー回線は、次によること

  • ア 階ごとに1の回線とすること
  • イ 劇場等で階の一部が吹抜けになっており、天井又は壁面に取り付けたスピーカーにより有効な音量が得られる場合、当該部分を1の回線とすることができる。
  • ウ 広大な面積を有する防火対象物にあっては、当該階の床面積1,200㎡以上の部分ごとに1の回線とすることができる。ただし、自動火災報知設備と連動する場合は、隣接する部分にも同時に警報を発することができるものとすること
  • エ 階段、傾斜路、エレベーターの昇降路その他これらに類するたて穴部分は、居室等と別の回線とし、かつ、当該たて穴部分ごとに1の回線とすること。なお、自動火災報知設備の作動と連動して起動するものにあっては、1.(2).オ.(ア).Bによるほか、当該階段、傾斜路の通じる階又はエレベーターの停止階の全ての放送区域に設けられた感知器等の作動と連動して鳴動させること
  • オ 特別避難階段又は屋内避難階段(以下「特別避難階段等」という。)は、エによるほか、最下階を基準として垂直距離45mごとに1の回線とすること。なお、自動火災報知設備と連動して起動するものにあっては、図2-6-1の例により当該放送区域に接する特別避難階段等の放送区域及びその直上の放送区域を鳴動させること
特別避難階段等の放送区域 スピーカー回線 非常放送設備
図2-6-1 特別避難階段等の放送区域
出火階 同時鳴動区域
A A、B、C、J、K
B A、B、C、J、K
C A、B、C、D、J、K
D A、B、C、D、E、J、K
E E、F、J、K
G G、H、J、K、L、M
H H、I、L、M
 I I、L、M

*J、K、L、Mは、特別避難階段等の放送区域

 

(4) 屋上部分を多数の者が利用する遊技場、ビアガーデン、プール等に使用する場合又はガーデンテラス等常時人が利用する場合は、当該部分を1の回線とし、スピーカーを設けること

 

(5) 音量調整器をスピーカーの内部に設ける場合又は人が容易に操作できない場所に設ける場合で、音圧が規則第25条の2第3号イ又はハ(イ)で定める音圧以上となるように調整されているものにあっては、同号ニの規定にかかわらず3線式配線としないことができる。

 

(6) 規則第25条の2第2項第3号イ(ロ)に規定する「室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所」とは、自動火災報知設備の基準(第3.5)を準用する。 

 

(7) 規則第25条の2第2項第3号イ(ロ)に規定する「当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置されていること」とは、自動火災報知設備の基準(第3.6)を準用する。なお、この場合において、「自動火災報知設備」は、「放送設備」に読み替えるものとする。

 

(8) 規則第25条の2第2項第3号イ(ハ)に規定する「当該個室において警報音を確実に聞き取ることができるように措置されていること」とは、自動火災報知設備の基準(第6.6)を準用する。なお、この場合において、「自動火災報知設備」は、「放送設備」に読み替えるものとする。

 

(9) エレベーターの設置されている防火対象物にあっては、エレベーターのかご内にスピーカーを設けること

 

(10) 規則第25条の2第2項第3号ロ(イ)に規定する放送区域を形成する部屋の間仕切壁については、音の伝達に十分な開口部があるものを除き、固定式又は移動式にかかわらず、壁として取り扱うものとする。

また、「障子、ふすま等遮音性能の著しく低いもの」とは、障子、ふすまのほか、カーテン(アコーディオンカーテンを除く。)、つい立て、すだれ、格子戸又はこれらに類するものとする。 

 

(11) 規則第25条の2第2項第3号ロ(ロ)ただし書を適用する場合、スピーカーが設置されない放送区域が存する場合は、スピーカーが受け持つ放送区域の合計面積を算定したうえで、当該面積に対応する種類のスピーカーを設置すること。

ただし、カラオケボックス、カラオケルーム等の遮音性の高い室等にあっては、当該室等を1の放送区域としてスピーカーを設置すること

 

(12) 規則第25条の2第2項第3号ハの規定によりスピーカーを設ける場合は、別記「放送設備のスピーカーの性能に応じた設置ガイドライン」によること 

 

(13) 規則第25条の2第2項第3号リかっこ書に規定する「地震動予報等に係る放送であって、これに要する時間が短時間であり、かつ、火災の発生を有効に報知することを妨げないもの(以下「緊急地震放送」という。)」を行うための機能は、次によること。

なお、緊急地震放送を行うための機能を付加したもので、認定評価を受けた放送設備については、アからオまでに適合するものとして取り扱って差し支えないこと 

  • ア 緊急地震放送に、放送設備の非常電源を用いることができること
  • イ 緊急地震放送に要する時間は15秒以内であること
  • ウ 緊急地震放送は、全館一斉放送により行われること
  • エ 緊急地震放送表示灯及び緊急地震放送停止スイッチを設けること
  • オ 緊急地震放送に関する動作は、非常放送設備専門委員会制定の「緊急地震速報に対応した非常用放送設備に関するガイドライン」(JEITA TTR-4701A)によること

 

3 起動装置


(1) 発信機及び押ボタン 

非常警報設備(非常ベル又は自動式サイレン)の基準(第2.3)を準用すること 

 

(2) 非常電話 

  • ア 子機は、廊下、階段、出入口付近その他多数の者の目にふれやすい場所で、かつ、容易に操作できる場所に設けること
  • イ 親機からの呼び出し機能のない子機にあっては、放送設備等により有効に呼び出すことができる位置に設けること
  • ウ 親機は、増幅器等及び自動火災報知設備の受信機と同一の場所に設けること
  • エ 制御部と操作部が分割された親機は、原則として同一室内に設けること
  • オ 親機の選択スイッチの部分には、子機の設置階の名称を適正に記入すること
  • カ 子機は、厚さ0.8mm以上の鋼板又はこれと同等以上の箱に収納し、その表面又は付近に赤地の白文字で「非常電話」と表示すること。なお、文字の大きさは2cm角以上とすること
  • キ 自動火災報知設備と連動するもので、起動装置を省略したものであっても、規則第25条の2第2項第2号の規定により起動装置を非常電話とする場合は、当該非常電話をアからカまでに定めるところにより設置すること 

 

4 表示灯


自動火災報知設備の基準(第7.2)を準用する。