防火に関する定義・用語


防火対象物の防火安全対策について考えるために、建築基準法で用いられる防火に関する用語・定義を知っておきましょう!|д゚)✨

◆ 耐火建築物


耐火建築物とは、主要構造部のすべてを

耐火構造とする(壁・床・柱・その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能を有する鉄骨造・レンガ造・その他の構造のこと)

又は

② “耐火建築物に要求される性能” について技術基準に適合するものであって、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に遮煙性能についての技術的基準に適合する防火設備を設け、かつ、火災による火熱を受けた場合に倒壊及び延焼しないもの

であるという要件を満たしたものです。

 

上記②の “耐火建築物に要求される性能” とは、次の2項目のことです。

  1. 屋内において発生が予想される火災による火熱に、火災が終了するまで耐えること。
  2. 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。

建築基準法第2条第1項第9号の2より

◆ 準耐火建築物


準耐火建築物とは、外部からの延焼が少ないことに加えて内部からの火災に対しても容易に倒壊しないものであり、耐火建築物と木造建築物の中間的な性能であるものを指します。

 

その性能で、以下の3種類に分けられます。

  1. すべての主要構造部を準耐火構造とした準耐火構造建築 (建築基準法第2条第9号の3イを参照)
  2. 外壁を耐火構造とした外壁耐火構造建築物 (建築基準法施行令第109条の3第1号を参照)
  3. 軸組を鉄骨などの不燃材料とし、外壁を防火構造、床を準不燃材料で造る不燃構造建築物 (建築基準法施行令第109条の3第2号を参照)

◆ 耐火構造


耐火構造とは、壁・床・柱その他の建築物の部分の構造のうち、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物に必要とされる性能(耐火性能)を有するものとされています。

 

技術的基準として、部位ごとに耐えなければならない時間が規定されており、当該時間の間において、非損傷性遮熱性遮炎性が損なうことが無いよう、以下のように定義されています。

  • 遮熱性…壁及び床にあっては通常の火災による火熱が1時間 (非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外は30分間) 加えられた場合に、当該加熱面以外の面 (屋外に面するものに限る) の温度が可燃物延焼温度以上に上昇しないものであること。
  • 遮炎性…外壁及び屋根にあっては、これらの屋内において発生する通常の火災による1時間 (非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあっては30分間) 加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他損傷を生じないものであること。

◆ 準耐火構造


準耐火構造とは、壁・床・柱その他の建築物の部分の構造のうち、通常の火災が終了するまでの間、当該火災による建築物の倒壊及び延焼を抑制するために当該建築物に必要とされる性能(準耐火性能)を有するものとされています。

 

耐火構造と同様に、技術的基準として部位ごとに耐えなければならない時間が規定されており、当該時間の間において、非損傷性遮熱性遮炎性が損なうことが無いよう、以下のように定義されています。

 

  • 遮熱性…壁・床及び軒裏にあっては通常の火災による火熱が45分間 (非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外は30分間) 加えられた場合に、当該加熱面以外の面 (屋外に面するものに限る) の温度が可燃物延焼温度以上に上昇しないものであること。
  • 遮炎性…外壁及び屋根にあっては、これらの屋内において発生する通常の火災による45分間 (非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあっては30分間) 加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他損傷を生じないものであること。

◆ 防火構造


防火構造とは、建築物の外壁又は軒裏の構造のうち、建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能(防火性能)を有するものとされています。

 

技術的基準としては、建築物の周囲において発生する通常の火災に対して30分間、非損傷性(耐力壁である外壁のみ)及び遮熱性が損なうことのないようにされています。

◆ 準防火構造


準防火構造とは、木造建築物などの外壁で延焼のおそれのある部分の構造のうち、建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために必要とされる性能(準防火性能)を有するものとされています。

 

技術的基準としては、建築物の周囲において発生する通常の火災に対して20分間、非損傷性(耐力壁である外壁のみ)及び遮熱性が損なうことのないようにされています。

◆ 延焼のおそれのある部分


延焼のおそれのある部分とは、隣家の火災により火災を直接受けたり、火災の輻射により延焼を受けるおそれのある範囲にある建築物の部分で、外壁・軒裏・屋根又は開口部などに防火上の制限をする場合に使用される用語です。

 

延焼のおそれのある部分として該当する部分は、以下のように定義されています。

  1. 隣地境界線
  2. 道路の中心線
  3. 同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積500㎡以下は1と扱う)相互の外壁間の中心線のそれぞれから、1階にあっては3 m以内・2階以上にあっては5 m以内の部分

◆ 主要構造部


主要構造部は、主として防火上の観点から定められている次に掲げる部分であり、「構造耐力上主要な部分」とは異なり、基礎及び基礎杭は含まれません。しかし、構造耐力上必要な部分でないカーテンウォールの外壁等が含まれます。

  1. (構造上重要でない間仕切壁を除く。)
  2. (構造上重要でない間柱及び付柱を除く。)
  3. (最下階の床・揚げ床及び回り舞台を除く。)
  4. (構造上重要でない小梁を除く。)
  5. 屋根 (構造上重要でないひさしを除く。)
  6. 階段 (局部的な小階段及び屋外階段を除く。)

◆ 防火設備


防火設備とは、“火災の拡大防止” と ”延焼防止” のために建築物の開口部に設けるものであり、“特定防火設備” と “延焼防止のための防火設備” の2種類があります。

  • 特定防火設備火災の拡大防止を主目的とし、延焼防止性能を有するもので、防火区画・防火壁の開口部・避難階段の屋内出入口等に設けられるものを指します。通常の火災に対して1時間以上火災を遮断することができるものでなければなりません。
  • 延焼防止のための防火設備…主として延焼防止を目的として設置されるものであり、防火性能は特定防火設備より劣ります(防火性能は20分)。耐火建築物・準耐火建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分や堅穴区画等で使用されます。