ここでは、主に居室内での火災が “どのように燃え盛っていくのか” その特徴について、少々科学的に言及していきます。
建物の一室内で火災が発生した場合の燃焼の経過は、以下のように分類されます。
ここで、2. のフラッシュオーバーに関してですが、燃焼により熱せられた空気が天井面下に堆積し、かつ火炎にあおられるため、天井材等の過熱分解により急速に発生した可燃性のガスに着火して爆発的に燃えることを指します。
フラッシュオーバーは上記の通り、天井付近に溜まった可燃性ガスに引火することで急速に延焼拡大することを指しました。
ここで、バックドラフトと呼ばれる現象についても記しておきます。
気密性の高い室内の場合、室内の空気が燃焼が進むにつれて少なくなると、可燃物があっても鎮火したような状態になります。
この時に、扉や窓を開けると新鮮な空気が入り込み、今まで燃えなかった可燃性ガスが爆発します。
これをバックドラフトと言い、フラッシュオーバーは燃焼によって天井面に空気が供給されて起こるのに対し、バックドラフトは空気不足で火災成長が抑制された後に起こることが大きく異なる点です。
延焼とは、火元となる可燃物の燃焼現象により、周囲に輻射・対流による熱伝導が起こり、連続的に燃焼が進行することを指します。
この延焼拡大は、火災室における可燃物の総量・燃焼継続時間・温度などの要素と、非火災室との開口部の状態・可燃物の配置・区画の構造等の要素がかかわっています。
これらの要素による延焼拡大は、開口部など比較的防火措置の弱い部分から伝搬し、隣接区画内の可燃物の未燃部分に着火することにより起こりますが、これらの過程を整理すると以下のようになります。
1. 2. については、火災発生初期に起こると考えられ、3.~5. は火災室における火災盛期において発生するといわれています。
火災荷重とは、火災室の単位床面積に対する等価可燃物の量を表す数値のことをいいます。
ここで、等価可燃物量とは火災室に存在する可燃物の発熱量を同じ発熱量を有する木材の量に換算した発熱量を指しています。
なぜ、木材の値に換算するかというと、建物内の可燃物は以下のように分類され、その発熱量が個々に異なるからです。
火災荷重[kg/㎡] q₀ = Σ(Gi・Hi) / H₀・A = ΣQi / H₀・A
Gi:可燃物重量(kg)、Hi:可燃物の単位発熱量(kcal/kg)、H₀:木材の単位発熱量(kcal/kg)、
A:火災室の床面積(㎡)、ΣQi:火災室内の可燃物の全発熱量(kcal)