第20条〔ハロゲン化物消火設備に関する基準〕

全域放出方式のハロゲン化物消火設備の噴射ヘッドは、前条第二項第一号の規定の例によるほか、次の各号に定めるところにより設けなければならない。

 

一 ジブロモテトラフルオロエタン(以下この条及び第三十二条において「ハロン2402」という。)又はドデカフルオロ―2―メチルペンタン―3―オン(以下この条及び第三十二条において「FK―5―1―12」という。)を放出する噴射ヘッドは、当該消火剤を霧状に放射するものであること。

 

二 噴射ヘッドの放射圧力は、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ ハロン2402を放射するハロゲン化物消火設備にあっては0.1MPa以上、ブロモクロロジフルオロメタン(以下この条において「ハロン1211」という。)を放射するハロゲン化物消火設備にあっては0.2MPa以上、ブロモトリフルオロメタン(以下この条において「ハロン1301」という。)を放射するハロゲン化物消火設備にあっては0.9MPa以上であること。
  • ロ トリフルオロメタン(以下この条において「HFC―23」という。)を放射するハロゲン化物消火設備にあっては0.9MPa以上、ヘプタフルオロプロパン(以下この条において「HFC―227ea」という。)又はFK―5―1―12を放射するハロゲン化物消火設備にあっては0.3MPa以上であること。

三 消火剤の放射時間は、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301を放射するものにあつては、第三項第一号イに定める消火剤の量を30秒以内に放射できるものであること。
  • ロ HFC―23、 HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものにあつては、第三項第一号ロに定める消火剤の量を10秒以内に放射できるものであること。

四 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

2 局所放出方式のハロゲン化物消火設備の噴射ヘッドは、前条第三項第一号及び第二号並びに前項第一号及び第二号イの規定の例によるほか、次の各号に定めるところにより設けなければならない。

  • 一 次項第二号に定める消火剤の量を30秒以内に放射できるものであること。
  • 二 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

3 ハロゲン化物消火剤の貯蔵容器又は貯蔵タンク(以下この条において「貯蔵容器等」という。)に貯蔵する消火剤の量は、次の各号に定めるところによらなければならない。

 

一 全域放出方式のハロゲン化物消火設備にあつては、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301を放射するものにあつては、次の(イ)又は(ロ)に定めるところにより算出された量以上の量とすること。

(イ) 次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分及び同表中欄に掲げる消火剤の種別の区分に応じ、同表下欄に掲げる量の割合で計算した量

防火対象物又はその部分
消火剤の種別
防護区画の体積1㎥当たりの消火剤の量
自動車の修理若しくは整備の用に供される部分、駐車の用に供される部分、発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分、鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分又は通信機器室
ハロン1301
0.32 ㎏
指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
可燃性固体類又は可燃性液体類に係るもの
ハロン2402
0.40
ハロン1211
0.36
ハロン1301
0.32
木材加工品又は木くずに係るもの
ハロン1211
0.60
ハロン1301
0.52
合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く。)に係るもの
ハロン1211
0.36
ハロン1301
0.32

(ロ) 防護区画の開口部に自動閉鎖装置を設けない場合にあっては、(イ)により算出された量に、次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分及び同表中欄に掲げる消火剤の種別の区分に応じ、同表下欄に掲げる量の割合で計算した量を加算した量

防火対象物又はその部分
消火剤の種別
開口部の面積1㎡当たりの消火剤の量
自動車の修理若しくは整備の用に供される部分、駐車の用に供される部分、発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分、鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分又は通信機器室
ハロン1301
2.4 kg
指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
可燃性固体類又は可燃性液体類に係るもの
ハロン2402
3.0
ハロン1211
2.7
ハロン1301
2.4
木材加工品又は木くずに係るもの
ハロン1211
4.5
ハロン1301
3.9
合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く。)に係るもの
ハロン1211
2.7
ハロン1301
2.4

ロ HFC―23、 HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものにあつては、次の表の上欄に掲げる消火剤の種別の区分に応じ、同表下欄に掲げる量の割合で計算した量とすること。

消火剤の種別
防護区画の体積1㎥当たりの消火剤の量
HFC―23
0.52 kg以上0.80 kg以下
HFC―227ea
0.55.0 kg以上0.72 kg以下
FK―5―1―12
0.84 kg以上1.46 kg以下

二 局所放出方式のハロゲン化物消火設備にあっては、次のイ又はロに定めるところにより算出された量にハロン2402またはハロン1211にあっては1.1、ハロン1301にあっては、1.25をそれぞれ乗じた量以上の量とすること。

  • イ 可燃性固体類又は可燃性液体類を上面を開放した容器に貯蔵する場合その他火災のときの燃焼面が一面に限定され、かつ、可燃物が飛散するおそれがない場合にあつては、次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、同表下欄に掲げる量の割合で計算した量
消火剤の種別
防護対象物の表面積1㎡当りの消火剤の量
ハロン2402
8.8 ㎏
ハロン1211
7.6
ハロン1301
6.8

ロ イに掲げる場合以外の場合にあつては、次の式によつて求められた量に防護空間の体積を乗じた量

 

Q=X-Y(a/A)

  • Qは、単位体積当りの消火剤の量(単位 kg / ㎥)
  • aは、防護対象物の周囲に実際に設けられた壁の面積の合計(単位 ㎡)
  • Aは、防護空間の壁の面積(壁のない部分にあつては、壁があると仮定した場合における当該部分の面積)の合計(単位 ㎡)
  • X及びYは、次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、それぞれ、同表の中欄及び下欄に掲げる値
消火剤の種別
Xの値
Yの値
ハロン2402
5.2
3.9
ハロン1211
4.4
3.3
ハロン1301
4.0
3.0

三 全域放出方式又は局所放出方式のハロゲン化物消火設備において、同一の防火対象物又はその部分に防護区画又は防護対象物が二以上存する場合には、それぞれの防護区画又は防護対象物について前二号の規定の例により計算した量のうち最大の量以上の量とすること。

 

四 移動式のハロゲン化物消火設備にあつては、一のノズルにつき次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、同表下欄に掲げる量以上の量とすること。

消火剤の種別
消火剤の量
ハロン2402
50 kg
ハロン1211またはハロン1301
45

4 全域放出方式又は局所放出方式のハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、前条第五項第三号及び第十八号の規定の例によるほか、次のとおりとする。

  • 一 駐車の用に供される部分、通信機器室及び指定可燃物(可燃性固体類及び可燃性液体類を除く。)を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分には、全域放出方式のハロゲン化物消火設備を設けること。
  • 二 ハロゲン化物消火設備に使用する消火剤は、ハロン2402、ハロン1211、ハロン1301、HFC―23、HFC―227eaまたはFK―5―1―12とすること。
  • 二の二 全域放出方式のハロゲン化物消火設備に使用する消火剤は、次の表の上欄に掲げる当該消火設備を設置する防火対象物又はその部分の区分に応じ、同表下欄に掲げる消火剤とすること。
防火対象物又はその部分
消火剤の種別
鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分又はガスタービンを原動力とする発電機が設置されている部分
ハロン1301
自動車の修理の用に供される部分、駐車の用に供される部分、発電機(ガスタービンを原動力とするものを除く。)、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分又は通信機器室
常時人のいない部分以外の部分又は防護区画の面積が1,000 ㎡以上若しくは体積が3,000 ㎥以上のもの
その他のもの
ハロン1301、HFC―23、HFC―227eaまたはFK―5―1―12
指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301

二の三 局所放出方式のハロゲン化物消火設備に使用する消火剤は、ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301とすること。

 

二の四 全域放出方式のハロゲン化物消火設備を設置した防火対象物又はその部分の開口部は、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301を放射するものにあっては、前条第五項第四号イ(ロ)及び(ハ)の規定の例によること。
  • ロ HFC―23、HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものにあっては、前条第五項第四号ロの規定の例によること。

三 貯蔵容器等の充塡比は、ハロン2402のうち加圧式の貯蔵容器等に貯蔵するものにあっては0.51以上0.67以下、蓄圧式の貯蔵容器等に貯蔵するものにあっては0.67以上2.75以下、ハロン1211にあっては0.7以上1.4以下、ハロン1301およびHFC―227eaにあっては0.9以上1.6以下、HFC―23にあっては1.2以上1.5以下、FK―5―1―12にあっては0.7以上1.6以下であること。

 

四 貯蔵容器等は、前条第五項第六号の規定の例によるほか、次のイからハまでに定めるところによる。

  • イ 貯蔵容器等には、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置を設けること。
  • ロ 加圧式の貯蔵容器等には、消防庁長官が定める基準に適合する放出弁を設けること。
  • ハ その見やすい箇所に、充塡消火剤量、消火剤の種類、最高使用圧力(加圧式のものに限る。)、製造年及び製造者名を表示すること。

五 蓄圧式の貯蔵容器等は、温度20℃において、ハロン1211を貯蔵するものにあっては1.1MPaまたは2.5MPa、ハロン1301、HFC―227eaまたはFK―5―1―12を貯蔵するものにあっては2.5MPaまたは4.2MPaとなるように窒素ガスで加圧したものであること。

 

六 加圧用ガス容器は、窒素ガスが充塡されたものであること。

 

六の二 加圧用ガス容器には、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置及び容器弁を設けること。

 

七 配管は、次のイからホまでに定めるところによること。

  • イ 専用とすること。
  • ロ 鋼管を用いる配管は、ハロン2402に係るものにあっては日本工業規格G3452に、ハロン1211、ハロン1301、HFC―227eaまたはFK―5―1―12に係るものにあっては日本工業規格G3454のSTPG370のうち呼び厚さでスケジュール40以上のものに、HFC―23に係るものにあつては日本工業規格G3454のSTPG370のうち呼び厚さでスケジュール80以上のものに適合するもの又はこれらと同等以上の強度を有するもので、亜鉛メッキ等による防食処理を施したものを用いること。
  • ハ 銅管を用いる配管は、日本工業規格H3300のタフピッチ銅に適合するものまたはこれと同等以上の強度及び耐食性を有するものを用いること。
  • ニ 管継手及びバルブ類は、鋼管若しくは銅管又はこれらと同等以上の強度及び耐食性を有するものであること。
  • ホ 落差は、50 m以下であること。

八 貯蔵容器(蓄圧式のものでその内圧力が1MPa以上となるものに限る。)には、消防庁長官が定める基準に適合する容器弁を設けること。

 

九 加圧式のものには、二メガパスカル以下の圧力に調整できる圧力調整装置を設けること。

 

十 選択弁は、前条第五項第十一号イからハまでの規定の例によるほか、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

十一 貯蔵容器等から噴射ヘッドまでの間に選択弁等を設けるものには、当該貯蔵容器等と選択弁等の間に、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置又は破壊板を設けること。

 

十二 起動用ガス容器は、前条第五項第十三号の規定の例により設けること。

 

十二の二 起動装置は、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301を放射するものにあつては、前条第五項第十四号イ、第十五号及び第十六号(同号ハを除く。)の規定の例により設けること。
  • ロ HFC―23、HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものにあつては、前条第五項第十四号ロ及び第十六号の規定の例により設けること。

十三 音響警報装置は、前条第五項第十七号の規定の例により設けること。ただし、ハロン1301を放射する全域放出方式のものにあっては、音声による警報装置としないことができる。

 

十四 全域放出方式のものには、次のイ又はロに定めるところにより保安のための措置を講じること。

  • イ ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301を放射するものにあっては、次の(イ)から(ハ)までに定めるところによること。

(イ) 起動装置の放出用スイッチ、引き栓等の作動から貯蔵容器等の容器弁又は放出弁の開放までの時間が20秒以上となる遅延装置を設けること。ただし、ハロン1301を放射するものにあっては、遅延装置を設けないことができる。

 

(ロ) 手動起動装置には(イ)で定める時間内に消火剤が放出しないような措置を講じること。

 

(ハ) 防護区画の出入口等の見やすい箇所に消火剤が放出された旨を表示する表示灯を設けること。

  • ロ HFC―23、HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものにあっては、イ(ハ)の規定の例によること。

十四の二 全域放出方式のものには、消防庁長官が定める基準に適合する当該設備等の起動、停止等の制御を行う制御盤を設けること。

 

十五 非常電源及び操作回路等の配線は、前条第五項第二十号及び第二十一号の規定の例により設けること。

 

十六 消火剤放射時の圧力損失計算は、消防庁長官が定める基準によること。

 

十六の二 全域放出方式のハロゲン化物消火設備(HFC―23、HFC―227ea又はFK―5―1―12を放射するものに限る。)を設置した防護区画には、当該防護区画内の圧力上昇を防止するための措置を講じること。

 

十六の三 全域放出方式のハロゲン化物消火設備(FK―5―1―12を放射するものに限る。)を設置した防護区画には、放射された消火剤が有効に拡散することができるように、過度の温度低下を防止するための措置を講じること。

 

十七 第十二条第一項第八号の規定は、ハロゲン化物消火設備について準用する。

 

十八 貯蔵容器等、加圧ガス容器、配管及び非常電源には、第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること。

 

5 移動式のハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、前条第五項第六号ロ及びハ、同条第六項第二号から第五号まで並びに前項第三号(HFC―23及びHFC―227eaに係る部分を除く。)、第四号イからハまで、第五号(HFC―227eaに係る部分を除く。)、第六号、第六号の二、第七号(HFC―23及びHFC―227eaに係る部分を除く。)、第八号及び第十六号の規定の例によるほか、次のとおりとする。

  • 一 移動式のハロゲン化物消火設備に使用する消火剤は、ハロン2402、ハロン1211またはハロン1301とすること。
  • 二 ノズルは、温度20℃において次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、一のノズルにつき毎分同表下欄に掲げる量以上の消火剤を放射できるものであること。
消火剤の種別
消火剤の量
ハロン2402
45 kg
ハロン1211
40 kg
ハロン1301
35 kg
  • 三 ホース、ノズル、ノズル開閉弁及びホースリールは、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。