第18条〔泡消火設備に関する基準〕


固定式の泡消火設備の泡放出口は、次に定めるところによらなければならない。

 

一 泡放出口は、次の表の上欄に掲げる膨脹比(発生した泡の体積を泡を発生するに要する泡水溶液(泡消火薬剤と水との混合液をいう。以下この条において同じ。)の体積で除した値をいう。以下この条において同じ。)による泡の種別に応じ、同表下欄に掲げるものとすること。

膨脹比による泡の種別
泡放出口の種別
膨脹比が20以下の泡(以下この条において「低発泡」という。)
泡ヘッド
膨脹比が80以上1,000未満の泡(以下この条において「高発泡」という。)
高発泡用泡放出口

二 泡ヘッドは、令別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物又は防火対象物の屋上部分で、回転翼航空機若しくは垂直離着陸航空機の発着の用に供されるものにあつてはフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドを、道路の用に供される部分、自動車の修理若しくは整備の用に供される部分又は駐車の用に供される部分にあつてはフォームヘッドを、指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分にあつてはフォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッド又はフォームヘッドを、次に定めるところにより設けること。

  • イ フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドは、防火対象物又はその部分の天井又は小屋裏に床面積8㎡につき一個以上のヘッドを防護対象物のすべての表面が当該ヘッドの有効防護空間内に包含できるように設けること。
  • ロ フォームヘッドは、防火対象物又はその部分の天井又は小屋裏に床面積9㎡につき一個以上のヘッドを防護対象物のすべての表面が当該ヘッドの有効防護空間内に包含できるように設けること。
  • ハ フォームヘッドの放射量は、次の表の上欄及び中欄に掲げる防火対象物又はその部分の区分及び泡消火薬剤の種別に応じ、同表下欄に掲げる数量の割合で計算した量の泡水溶液を放射することができるように設けること。
防火対象物又はその部分
泡消火薬剤の種別
床面積一平方メートル当たりの放射量(単位:ℓ / 分)
道路の用に供される部分、自動車の修理若しくは整備の用に供される部分又は駐車の用に供される部分
たん白泡消火薬剤
6.5
合成界面活性剤泡消火薬剤
8.0
水成膜泡消火薬剤
3.7
指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
たん白泡消火薬剤
6.5
合成界面活性剤泡消火薬剤
6.5
水成膜泡消火薬剤
6.5

三 高発泡用泡放出口は、次のイ又はロに定めるところにより設けること。

  • イ 全域放出方式の高発泡用泡放出口は、令第十六条第一号の区画された部分(以下「防護区画」という。)で開口部に自動閉鎖装置(防火戸又は不燃材料で造った戸で泡水溶液が放出される直前に開口部を自動的に閉鎖する装置をいう。)が設けられているものに設けるものとし、次に定めるところによること。ただし、当該防護区画から外部に漏れる量以上の量の泡水溶液を有効に追加して放出することができる設備であるときは、当該開口部の自動閉鎖装置を設けないことができる。

(イ) 泡放出口(泡発生機を内蔵しないものにあつては当該泡発生機を含む。以下同じ。)の泡水溶液放出量は、次の表の上欄及び中欄に掲げる防火対象物又はその部分の区分及び泡放出口の膨脹比による種別に応じ、当該防護区画の冠泡体積(当該床面から防護対象物の最高位より0.5m高い位置までの体積をいう。以下同じ。)1㎥につき、同表下欄に掲げる量の割合で計算した量の泡水溶液を放出できるように設けること。

防火対象物又はその部分
泡放出口の膨脹比による種別
毎分1㎥当たりの泡水溶液放出量(単位:ℓ)
令別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物
膨脹比が80以上250.未満のもの(以下この条において「第一種」という。)
膨脹比が250以上500未満のもの(以下この条において「第二種」という。)
0.5
膨脹比が500以上1,000未満のもの(以下この条において「第三種」という。)
0.29
自動車の修理若しくは整備の用に供される部分又は駐車の用に供される部分
第一種
1.11
第二種
0.28
第三種
0.16
ぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品に限る。)、可燃性固体類又は可燃性液体類を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
第一種
1.25
第二種
0.31
第三種
0.18
指定可燃物(ぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品に限る。)、可燃性固体類又は可燃性液体類を除く。)を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分
第一種
1.25

(ロ) 泡放出口は、一の防護区画の床面積500㎡ごとに一個以上を当該区画に泡を有効に放出できるように設けること。

 

(ハ) 泡放出口は、防護対象物の最高位より上部の位置となる箇所に設けること。ただし、泡を押し上げる能力を有するものにあつては防護対象物に応じた高さとすることができる。

  • ロ 局所放出方式の高発泡用泡放出口は、次に定めるところによること。

(イ) 防護対象物が相互に隣接する場合で、かつ、延焼のおそれのある場合にあつては、当該延焼のおそれのある範囲内の防護対象物を一の防護対象物として設けること。

 

(ロ) 泡放出口の泡水溶液放出量は、次の表の上欄に掲げる防護対象物の区分に応じ、防護面積(当該防護対象物を外周線(防護対象物の最高位の高さの3倍の数値又は1mのうちいずれか大なる数値を、当該防護対象物の各部分からそれぞれ水平に延長した線をいう。)で包囲した部分の面積をいう。以下この条において同じ。)1㎡につき、同表下欄に掲げる数値の割合で計算した量以上の量であること。

防護対象物
防護面積1㎡当たりの放射量
指定可燃物
3 ℓ / 分
その他のもの
2 ℓ / 分

2 水源の水量は、次の各号に定める量の泡水溶液を作るに必要な量以上となるようにしなければならない。

 

一 フォーム・ウォーター・スプリンクラーヘッドを用いるもので、令別表第一(13)項ロに掲げる防火対象物又は防火対象物の屋上部分で回転翼航空機若しくは垂直離着陸航空機の発着の用に供されるものに設けられるものにあっては、床面積又は屋上部分の面積の1 /3以上の部分に設けられたすべての泡ヘッドを、指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う防火対象物又はその部分に設けられるものにあっては、床面積50 ㎡の部分に設けられたすべての泡ヘッドを同時に開放した場合に第32条に規定する標準放射量で10分間放射することができる量

 

二 フォームヘッドを用いるもので、道路の用に供される部分に設けられるものにあっては、当該部分の床面積80 ㎡の区域、駐車の用に供される部分に設けられるものにあっては、不燃材料で造られた壁又は天井面より0.4 ⅿ以上突き出したはり等により区画された部分の床面積が最大となる区域(当該天井部分に突き出したはり等のない場合にあっては床面積50 ㎡の区域)、その他の防火対象物又はその部分に設けられるものにあっては、床面積が最大となる放射区域に設けられるすべてのヘッドを同時に開放した場合に前項第二号ハに定める放射量で10分間放射することができる量

 

三 高発泡用泡放出口は、次のイ又はロに定めるところによること。

  • イ 全域放出方式のものは、泡水溶液量が床面積が最大となる防護区画の冠泡体積1㎥につき、次の表の上欄に掲げる泡放出口の種別に応じ、同表の下欄に掲げる量の割合で計算した量(防護区画の開口部に自動閉鎖装置を設けない場合には当該防護区画から外部に漏れる量以上の量の泡水溶液を有効に追加して放出することができる量を追加した量)
泡放出口の種別
冠泡体積1㎥当たりの泡水溶液の量
第一種
0.04 ㎥
第二種
0.013 ㎥
第三種
0.008 ㎥
  • ロ 局所放出方式のものは、床面積が最大となる放出区域に前項第三号ロ(ロ)に定める泡水溶液放出量で20分間放出することができる量

四 移動式の泡消火設備は、二個(ホース接続口が一個の場合は一個)のノズルを同時に使用した場合に、道路の用に供される部分、自動車の修理若しくは整備の用に供される部分又は駐車の用に供される部分に設けられるものにあつては泡水溶液がノズル一個当たり毎分百リットル、その他の防火対象物又はその部分に設けられるものにあっては泡水溶液がノズル1個当たり毎分200 ℓの放射量で15分間放射することができる量

 

五 前各号に掲げる泡水溶液の量のほか、配管内を満たすに要する泡水溶液の量

 

3 泡消火薬剤の貯蔵量は、前項に定める泡水溶液の量に、消火に有効な泡を生成するために適したそれぞれの泡消火薬剤の種別に応じ消防庁長官が定める希釈容量濃度を乗じて得た量以上の量となるようにしなければならない。

 

4 泡消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。

一 火災のとき著しく煙が充満するおそれのある場所に設けるものは、固定式のものとすること。

 

一の二 道路の用に供される部分には、固定式の泡消火設備を設けること。ただし、屋上部分に設けられるものにあっては、この限りでない。

 

二 防護対象物のうち床面からの高さが5mを超える場所に設ける高発泡用泡放出口を用いる泡消火設備は、全域放出方式のものとすること。

 

三 移動式の泡消火設備に用いる泡消火薬剤は、低発泡のものに限ること。

 

三の二 移動式の泡消火設備の消防用ホースは、消防庁長官の定める基準に適合するものであること。

 

四 移動式の泡消火設備の表示は、次に定めるところによること。

  • イ 泡放射用器具を格納する箱にはその表面に「移動式泡消火設備」と表示すること。
  • ロ 泡放射用器具を格納する箱の上部には赤色の灯火を設けること。

五 フォームヘッドを用いる泡消火設備の一の放射区域の面積は、道路の用に供される部分にあっては80 ㎡以上160 ㎡以下、その他の防火対象物又はその部分に設けられるものにあっては50 ㎡以上100 ㎡以下とすること。

 

六 呼水装置は、第十二条第一項第三号の二の規定の例により設けること。

 

七 操作回路及び第四号ロの灯火の回路の配線は、第十二条第一項第五号の規定の例により設けること。

 

八 配管は、第十二条第一項第六号の規定に準じて設けるほか、一斉開放弁の二次側のうち金属製のものには亜鉛メッキ等による防食処理を施すこと。

 

九 加圧送水装置は、第十二条第一項第七号イ(ロ)、ロ(ロ)及び(ハ)、ハ(ハ)から(チ)まで、ニ、ト並びにチの規定の例によるほか、次に定めるところによること。

  • イ 高架水槽を用いる加圧送水装置の落差(水槽の下端から泡放出口までの垂直距離をいう。以下この号において同じ。)は、次の式により求めた値以上の値とすること。

H=h1+h2+h3

Hは、必要な落差(単位 メートル)

h1は、第三十二条に規定する当該設備に設置された固定式の泡放出口の設計圧力換算水頭若しくは移動式の泡消火設備のノズル放射圧力換算水頭(単位 メートル)

h2は、配管の摩擦損失水頭(単位 メートル)

h3は、移動式の泡消火設備の消防用ホースの摩擦損失水頭(単位 メートル)

ロ 圧力水槽を用いる加圧送水装置の圧力水槽の圧力は、次の式により求めた値以上の値とすること。

P=p1+p2+p3+p4

Pは、必要な圧力(単位 メガパスカル)

p1は、第三十二条に規定する当該設備に設置された固定式の泡放出口の設計圧力又は移動式の泡消火設備のノズル放射圧力(単位 メガパスカル)

p2は、配管の摩擦損失水頭圧(単位 メガパスカル)

p3は、落差の換算水頭圧(単位 メガパスカル)

p4は、移動式の泡消火設備の消防用ホースの摩擦損失水頭圧(単位 メガパスカル)

  • ハ ポンプを用いる加圧送水装置は、次に定めるところによること。

(イ) ポンプの吐出量は、固定式の泡放出口の設計圧力又はノズルの放射圧力の許容範囲で泡水溶液を放出し、又は放射することができる量とすること。

 

(ロ) ポンプの全揚程は、次の式により求めた値以上の値とすること。

H=h1+h2+h3+h4

Hは、ポンプの全揚程(単位 メートル)

h1は、第三十二条に規定する当該設備に設置された固定式の泡放出口の設計圧力換算水頭又は移動式の泡消火設備のノズルの先端の放射圧力換算水頭(単位 メートル)

h2は、配管の摩擦損失水頭(単位 メートル)

h3は、落差(単位 メートル)

h4は、移動式の泡消火設備の消防用ホースの摩擦損失水頭(単位 メートル)

  • ニ 加圧送水装置には、泡放出口の放出圧力又はノズルの先端の放射圧力が当該泡放出口又はノズルの性能範囲の上限値を超えないための措置を講じること。

十 起動装置は、次に定めるところによること。

  • イ 自動式の起動装置は、自動火災報知設備の感知器の作動、閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放又は火災感知用ヘッドの作動若しくは開放と連動して、加圧送水装置、一斉開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動することができるものであること。ただし、自動火災報知設備の受信機が防災センター等に設けられ、又は第十五号若しくは第二十四条第九号において準用する第十二条第一項第八号の規定により総合操作盤が設けられており、かつ、火災時に直ちに手動式の起動装置により加圧送水装置、一斉開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動させることができる場合にあつては、この限りでない。
  • ロ 手動式の起動装置は、次に定めるところによること。

(イ) 直接操作又は遠隔操作により、加圧送水装置、手動式開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動することができるものであること。

 

(ロ) 二以上の放射区域を有する泡消火設備を有するものは、放射区域を選択することができるものとすること。

 

(ハ) 起動装置の操作部は、火災のとき容易に接近することができ、かつ、床面からの高さが0.8 ⅿ以上1.5 ⅿ以下の箇所に設けること。

 

(ニ) 起動装置の操作部には有機ガラス等による有効な防護措置が施されていること。

 

(ホ) 起動装置の操作部及びホース接続口には、その直近の見やすい箇所にそれぞれ起動装置の操作部及び接続口である旨を表示した標識を設けること。

 

十一 高発泡用泡放出口を用いる泡消火設備には泡の放出を停止するための装置を設けること。

 

十二 自動警報装置は、第十四条第一項第四号の規定の例により設けること。

 

十三 非常電源は、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。

 

十四 泡放出口及び泡消火薬剤混合装置は、消防庁長官の定める基準に適合したものであること。

 

十五 第十二条第一項第八号の規定は、泡消火設備について準用する。

 

十六 貯水槽等は、第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること。