特定防火対象物とは、旅館・地下街といった不特定多数の者が利用する防火対象物(用途)、または病院や社会福祉施設・幼稚園など行動力にハンディキャップがあり、火災が発生した場合に、人命に危険が及ぶ可能性が高い施設などを指します。
それ以外は非特定防火対象物に分類されます。
以下の表をご覧ください。
令別表の(5)項をご覧ください。
(5)項・イ に分類される旅館・ホテル、宿泊所その他これらに類するもの… “民泊” はここに分類されます。
そして、(5)項・イ は特定防火対象物です。
次に(5)項・ロ に分類されるのが寄宿舎・下宿、または共同住宅 となっています。
つまり、アパートやマンションなどの共同住宅は非特定防火対象物です。
さらに、(16)項・イ の文言に注目してください。
(16)項・イ は “複合用途防火対象物” といい、一つの建物に複数の用途が入っている場合の分類です。
ここで、(5)項・ロ の共同住宅の建物の一部に、(5)項・イ の“民泊” が入ると、(16)項・イ の複合用途防火対象物として分類されると判断できます。
よって、共同住宅を “民泊” にする場合、消防法上で防火対象物の区分が変わってしまうことに加え、非特定防火対象物から特定防火対象物の扱いになることが分かります。
上記表の用途変更に伴って、設置義務のある消防設備も変更することとなります。
以下に表を掲載させていただきまして、説明を加筆していきます。
まず上表で注目していただきたいのが、自動火災報知器設備の項目です。
500㎡以下の共同住宅には自火報がついていませんが、民泊の用途になると自火報の設置が必要となります。
ここで、緩和措置として “特定小規模施設用自動火災報知設備” を用いることができる場合を記します。
民泊部分の延べ面積が300㎡未満の場合のみ、特定小規模施設用自動火災報知設備を設置することで足りるとされています。
共同住宅の一部を民泊にする場合、上記の緩和措置が適用できる場合があります。
また、床面積が300㎡~500㎡の共同住宅では、民泊割合が10%以上になると “建物全体に” 自働火災報知設備を設置しなければならなくなるので割合には注意が必要です。
他にも、誘導灯やスプリンクラー設備に関する注意点もあります。
民泊に消防設備を施工する際は、青木防災まで一度お尋ねください。
(5)項 ロ・共同住宅 → (16)項 イ・複合用途防火対象物への用途変更に伴い、防火管理関係にも影響が生じてきます。
以下の表をご覧ください。
上表で影響を受けることが確定しているのが、消防訓練・避難訓練が年2回以上実施しなければならなくなるということです。
また、共同住宅の場合は “高さ31m超(10階建てくらい)” でなければ統括防火管理者選任の義務はありませんが、(16)項 イ 複合用途の場合は階数3以上かつ収容人員30人以上で統括防火管理者選任の義務が生じます。
防火管理者講習など、新たに受ける必要が発生する可能性があるので、事前に防火管理関係についても把握しておくべきでしょう。
民泊の営業許可を得るに当たって、消防用設備点検報告書に不備個所があった場合それを改修した後、報告書の判定欄が “〇” になったものを消防署に提出する必要があります。
これは、『消防法令適合通知書交付申請書』を消防署に発行してもらうにあたっての必要事項となります。
用途変更に伴う消防設備の新設・改設に加えて、既存の消防設備の状態も整える必要があります。
その上で、消防の立ち入り検査を受ける手順となります。
お困りの際は、青木防災まで一度ご連絡頂ければと存じます。