以前より、大阪市内某所にある建物を見ては『何で入居するんが “無料!” ってデカデカと看板に掲げられるん…⁉』と不思議がっていたんですけど、皆様は思い当たる節ありませんか…❔🎩
本当に “無料” なワケも無く、その背景には “無料低額宿泊所” という制度が関わっていそうな事が分かりました。💰(´∀`*)ウフフ♪
実は以前、札幌市にて生計困難者が多く住んでいた木造の建物で火災が発生し、多数の死傷者が出たことから、この “無料低額宿泊所” の防火安全対策について活発に議論されています。📣
人口動態の変化に伴って、建物の使用の様態も複雑化している為、適用法令も考え直していく必要がありそうです。🌐💦
適用される消防法
無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準の第12条の第2項にて「無料低額宿泊所の建物は、消防法の規定を遵守するものでなければならない。」と謳われていますが、設置義務の生じる消防用設備等は用途毎に決まっている為、その “使用の様態” を把握して消防法施行令別表第一に基づいた下表のどれに当てはまるかを確認する必要があります。📝✨
例えば前ブログ “戸建てをグループホームにする際の消防用設備等” のケースでは「要介護度3以上の方(自力避難困難者)が半数以上」であれば、上表の(6)項ハではなく(6)項ロとなりスプリンクラー設備等の設置義務が生じる事について触れていました。🏠(´∀`*)ウフフ
無料低額宿泊所については、介護等が必要な方々の入居を前提としていない事から、一般的には一定期間入居する施設は(5)項ロ 寄宿舎、短期的に宿泊する施設であれば(5)項イ 旅館・ホテル等に該当し、それぞれに対応した消防用設備等の設置義務が生じます。💡
実際は入居者のうち要介護認定を受けている方が5%、障害支援区分の認定を受けている方が1%おられるというデータが公開されていますが、要介護状態の方については他の専門施設への転所(どこ…⁉)等を検討するとの事です。(;´Д`)💭
線引きの難しい「使用の様態」
以前より(6)項イ 病院・診療所や(6)項ロ 有床の福祉施設等では、当該防火対象物(消防用設備等の設置義務のある建物)の “使用の様態” で細かく分類され、それぞれ消防用設備等の設置義務の生じ方について区別される傾向にありました。(・ω・)ノ📁
無料低額宿泊所については、(5)項イ 簡易宿泊所と酷似した使用の様態で機能しているケースもある事から、以下のように整理しようという案があります。📦
- 簡易宿泊所‥簡易宿泊所として一般客が利用(時々生計困難者が利用する場合を含む)
- 無料低額宿泊所‥一般客の利用を制限し、生活保護受給者など生計困難者が利用
上記の様に区別する必要がある理由として、無料低額宿泊所については “福祉施設” の色が強く、国による補助の対象になり得る等、適用される法令が異なる事が挙げられるでしょう。💰
ところが、この使用の様態を正確に知るには、市役所・区役所より生活保護受給者の情報を得たり、実際に現地に立ち入って見る等の人海戦術的な大変手間がかかる作業が必要になります。💔(;´Д`)‼💦
参考:無料低額宿泊事業の範囲
消防用設備点検時には我々も消防設備士として街中の建物に出入りしますが、外観からは全く想像できない『こんな所に中国人ばかり住んでいるマンションが…』とか『訪問ヘルパーさんが出入りしている居住者さんばっかり…』等の使用の様態に気付く事があります。🏢
この補助の対象になるかどうかは、防火対象物の用途毎に定められた消防用設備等の設置義務に加えてスプリンクラー設備等が設置されるという様な補助事業に関係する事もあり、重要な部分になります。🧩
どこまで“補助”されるか
以前、福祉施設で働くお客様より『殆どが国からの補助で成り立っている』と伺った運営に係る費用における補助の割合を聞いて驚愕した事がありましたが、今後ますます社会福祉を維持する為に国の財源を頼る事になるのは目に見えています。((((;゚Д゚))))🗾💦
去る平成30年1月31日に札幌市にて生計困難者が多数居住する木造の寄宿舎で火災が発生し、それを踏まえて実質は無料低額宿泊所と同様の仕組みで成り立っている「未届施設」を洗い出した他、スプリンクラー設備等の補助事業の開始が提案されました。🚨
その防火安全対策に係る具体的な整備内容として掲げられているのは以下の工事です。👷💭
- ①スプリンクラー設備やパッケージ型自動消火設備の設置、自動火災報知設備の設置、天井等の内装の不燃化工事
- ②その他①に付随して、車いす利用者の為のバリアフリー化や施設の老朽化に伴う改修工事など
お役所案件に携わる際、窓口担当の方が『国民の血税を財源にしているので、いい加減な事は出来ない。』と仰られていたのですが、我々の様な業者も単に施工するだけで無く、法令を遵守した上で状況を鑑みて効果的であろう提案をしていければと思います。🧠✨
まとめ
- 無料低額宿泊所については、介護等が必要な方々の入居を前提としていない事から、一般的には一定期間入居する施設は(5)項ロ 寄宿舎、短期的に宿泊する施設であれば(5)項イ 旅館・ホテル等に該当し、それぞれに対応した消防用設備等の設置義務が生じた。✅
- 簡易宿泊所の定義は簡易宿泊所として一般客が利用(時々生計困難者が利用する場合を含む)である一方、無料低額宿泊所は一般客の利用を制限し、生活保護受給者など生計困難者が利用するもので、区別する必要がある理由として、無料低額宿泊所については “福祉施設” の色が強く、国による補助の対象になり得る事が挙げられた。✅
- 我々の様な業者も単に施工するだけで無く、法令を遵守した上で状況を鑑みて効果的であろう提案をしていければと思った✅
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まきとはー (火曜日, 29 10月 2019 04:12)
まとめの最後の文を読んで嬉しく思いました。
今回の記事にあるように、福祉の分野はどこも常にカツカツでしょうし、そういう所こそ安全を大切にしないとですがままならない現状かと思います。ましてやビジネスとして行っているところはどうやって儲けるのやら…。
どこぞの偉い人の「身の丈にあった」なんて考えが浸透したらとゾッとしますが、青木防災さんのように自分や相手ができる最善を模索工夫しながら安全対策を考えていけたら、みんなが安心して暮らせる街になりますね!
たけ (火曜日, 29 10月 2019 10:12)
以前、独身寮の建物を買い上げて老人ホームにした施設に仕事で行ったことがありましたが、後付けのスプリンクラーの配管が凄いことになっていましたが、そういうことでしたか…防火設備の基準が違うんですね!勉強になりました。
管理人 (火曜日, 29 10月 2019 17:41)
>まきとはー様
いつも有難う御座います!!�✨
限られた補助額内で納めたいところですが、そういう訳にもいかなかったり…。
現行のルール内で、最適な提案ができるように工夫していきたい次第です!
今後共、何卒宜しくお願い致します!!
管理人 (火曜日, 29 10月 2019 17:43)
>たけ 様
毎度有難う御座います!!\(^o^)/♪
既設建物にスプリンクラー設備の設置義務が生じたパターンですと、露出配管で施工せざるを得ないケースも多々あり、建物内が配管だらけ…という現象も起こっております。汗
知って頂けて嬉しいです!今後ともよろしくお願いいたします!!�