消火ポンプを用いて加圧送水されるスプリンクラー設備には、その消火水槽内の水を放射し終わった際も追加で放水できる様に、スプリンクラー用の送水口が設けられます。⛲(´∀`*)ウフフ💦
この送水口より消防ポンプ車が加圧送水する事で、火災盛期で侵入が困難な場合にも建物のスプリンクラーヘッドより消火活動が可能になっているという訳です。🚒💨
ところがどっこい、スプリンクラー設備には “設計送水圧” がある為「これ以上の圧力で送水せな上手い具合に放水されへんけど、圧力かけ過ぎたらスプリンクラーヘッドがワヤになってまうで…。」という値を標識に記しておく必要があるのですが、それを求める考え方について知られていないので広報します。🐈♪
「誰も知らない」状態の水利計算…
先日、某大阪府内所轄消防署へスプリンクラー設備の着工届を提出した際、予防担当者様より『コレ何で0.0098っていう数字で掛け算してるんですか…?』という質問を承りました。👮💭
その時の管理人といえば「俺のターン!」と言わんばかりに『水頭(m)を水圧(MPa)に換算する時に水の比重量に9.8(kN/㎥)という数字を使うからですぅ…ブフォ!』と早口で喋り散らかしておりました。📞(´∀`*)デュフフ♪
しかし確かに消防関係法令全体を見渡しても、わざと不親切に作っているのかとツッコミを入れたくなる位、具体的な計算方法が載っている箇所が発見されず、途方に暮れる様な事があります。📚💦
1~3類の消防設備士試験でも、ベルヌーイの定理あたりで圧力(MPa)が水頭(m)に…のような基礎的な話は出ますが、実務を繋げる為の “おさらい” をしつつ、送水圧力範囲を確認しましょう。💡
送水圧の下限値は分かりますよ…
『最低、この圧力で送水しなさい!』…という下限値である “最低送水圧力” は分かりやすくて、これは「最遠のスプリンクラーヘッド及び補助散水栓で規定の水圧以上で放水する為に、摩擦損失計算して求めた設計送水圧以上」の送水圧をかければ良いですよね。🚀
摩擦損失計算については、前ブログ “配管圧力摩擦損失計算書でExcelを学ぼう!” も参照頂きたいのですが、要はグニャグニャした配管を真っ直ぐにしたと想定して、そこに水を流す際どれぐらい勢いが落ちるかのシミュレーションの事です。📉
消火ポンプは、最遠のスプリンクラーヘッド及び補助散水栓で規定の放水圧以上を出すパワーのある物を選定しなければなりませんから、設計段階で予め必要となる圧力は計算してある訳です。🧠✨
よってスプリンクラー用送水口からの送水圧力も、消火ポンプを選定する際に求めた設計圧力以上であると分かり、例えば0.52MPa必要だとすれば、0.6MPaあたりが妥当な値になります。🔢
最高送水圧力は幾つやねん問題
消防法施行規則第14条〔スプリンクラー設備に関する基準の細目〕には「送水口にはその直近の見やすい箇所にスプリンクラー用送水口である旨及びその送水圧力範囲を表示した標識を設けること。」と謳われていますが、その計算方法について記載はありません。📝
大阪市の運用基準に以下の文言があります。🐙♪
- 最高送水圧力は、当該送水口から送水できるいずれの部分においても、ヘッド1個を使用した場合に、その先端において、放水圧力が1MPaを超えず、かつ、配管、バルブ類等にかかる圧力が当該配管、バルブ類等の最高使用圧力を超えない送水圧力とすること。
今度は最も放水圧力が高くなると想定される “直近のヘッドで1MPaを超えない様にしなさい!” …と言っている訳です。📣
ほんなら『1MPaって書いときゃ間違いないやん…!』ってのは殆ど正解なのですが、中には例外も発生し得るんですよ…。💡
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)について
例えば、最低送水圧力が1MPaを超える様なケース(ほぼ無いですが…)を想定すると『えっ、スプリンクラー用の配管ってJISG 3452のガス管だけど1MPa超えて大丈夫なの??』という疑問が生じるかと思います。((((;゚Д゚))))⛲💦
結論から言うと “大丈夫” なのですが、その理由に日本工業規格にてJISG 3452の耐圧試験圧力が2.5MPaと定められている事が挙げられます。📖
その耐圧試験圧力は “最高使用圧力の1.5倍” という規定がある為、運用基準上でも謳われている “最高使用圧力” の値は「2.5÷1.5≒1.6」と逆算される為、JISG 3452のガス管の最高使用圧力は1.6MPaとして使用可能となっているんです。💮(;´Д`)👌
よって、理論上は “送水圧1.2~1.5MPa” の様な値もあり得る訳ですが、連結送水管の場合JISG 3452のガス管だと送水圧は1MPaまでという基準に慣れている為、何か違和感ありますよね。📊笑
まとめ
- “最低送水圧力” は「最遠のスプリンクラーヘッド及び補助散水栓で規定の水圧以上で放水する為に、摩擦損失計算して求めた設計送水圧以上」の送水圧をかければ良く、消火ポンプを選定する際に求めた設計圧力以上が妥当な値であった。✅
- 最高送水圧力は、最も放水圧力が高くなると想定される “直近のヘッドで1MPaを超えず、配管、バルブ類等にかかる圧力が当該配管、バルブ類等の最高使用圧力を超えない送水圧力と謳われており、『1MPaって書いときゃ間違いないやん…!』ってのは殆ど正解であった。✅
- スプリンクラー用の配管ってJISG 3452のガス管の耐圧試験圧力は “最高使用圧力” の値は「2.5÷1.5≒1.6」と逆算される為、JISG 3452のガス管の最高使用圧力は1.6MPaとして使用可能となっていた。✅
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名無しさん (日曜日, 11 10月 2020 21:38)
https://twitter.com/aokibosai/status/1315202179792171010
にて、紹介された案件、死者無しで安堵しています。
ただ、特にスプリンクラー設備の連結送水口については、果たして30階以上、消防車で何処まで対応できるか、という懸念が残ります。あくまで一例ですが30階だと、1階あたりの高さが3.3mと仮定すると、大凡高さが100m、水頭差で10kgf/cm2。大雑把に1MPa必要。その上でスプリンクラーが噴霧するために必要な流量(+差圧)を考えると、もう少し余裕が必要。
(ボタボタ垂れるだけなら考慮不要ですが、噴霧しなければ意味がないため。)
そうすると一般的なA-1,A-2消防車(高圧定格1.4MPa:全自動設定では1.5MPaまでが多い様子:https://www.nikki-net.co.jp/parts/aquaviewer)ではどうなるか、と言えば、大雑把に40階建て以上では「間に合わないかも知れない」ものが出始めるという懸念が残ります。
実際にはそれ以上の圧力は出るとは思います。しかし、はしご車は一般に30階建てまで。消防ポンプ車は先の単純計算で大凡40階建てで限界を迎える可能性がある為、どうされているのか興味深いです。
名無しさん (日曜日, 11 10月 2020 21:47)
訂正:×はしご車は一般に【30階建て】まで→【30m】まで の誤りです。以上訂正します。