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避難器具が設置できない箇所の特例

避難はしご降下空間確保の加工テント
吊下げ避難はしごの降下空間確保のため加工されたテント。

避難器具” は5類の消防用設備で、主に設置されているのが “避難はしご” “緩降機” “救助袋” に分類されるものになります。💡

 

この記事の現場となった防火対象物では、そのいずれもが消防法に則った設置が不可であったため、特例認定がなされました。📝

 

今回の特例を簡単に述べますと、 “緩降機” や “吊下げ避難はしご” の降下地点である安全な広場・道路に面しているする “避難空地” を設けられる箇所が無かったため、“吊下げ避難はしご” で一つずつ下の階に降りていくという手法が取られました。🎳♪

 

✍(´-`).。oO(“避難ハッチ” みたいな扱いですね…。。)

通常の“吊下げ式避難はしご”設置例


吊下げの避難はしごは、通常3階までの階で使用されます。🏢

✍(´-`).。oO((6)項の病院や福祉施設は…、、“2階まで” なので注意…。。)

 

避難はしごを吊下げ
“自在フック”式は強度計算した箇所に避難はしごを吊下げる。
“避難空地”まで伸びる梯子
安全な道路や広場に面した“避難空地”まで伸びる梯子。

冒頭でも述べさせて頂きました通り、今回3階から直接地上の “避難空地” までアクセスできませんでした。💔(;´Д`)💦

 

その為、普段3階に設置できるような “吊下げはしご” は不適であったため、特例が適用される運びとなりました。👮❕

 

✍(´-`).。oO(特例の内容についてですが…、、『一つ下の2階に吊下げ避難はしごで降りてから、また2階に置いてある吊下げはしごを用いて地上の避難空地に降りる』という方式ものです…。。)

避難ハッチの“避難空地”


“避難ハッチ”
ベランダに設置されている“避難ハッチ”

また “避難ハッチ” という、(5)項ロ 共同住宅のベランダなどに設置される梯子に関しては下記の通り、他と “避難空地” の定義が少々異なります。

 

✍(´-`).。oO(避難器具用ハッチに格納した避難はしご救助袋の避難空地は…、、降下空間の “水平投影面積以上の面積” つまり開口部と同じ大きさで避難上の安全が確保されているものとされています…。。)

 

これは、本件の特例のように下の階に降りて…を繰り返して地上までたどり着く方式の為であると言えます。🚮💦

参考:消防設備士講習用テキスト

 



“降下空間”の作成


避難器具を設置する開口部から “地上” までは、避難器具の種類と降下方式の応じて展張操作や使用上十分な空間として “降下空間” を設けることとされています。(・ω・)ノ🔮

 

この降下空間内に架空電線・樹木・看板・屋根・ひさし等の障害物はあってはならないとされています。🌳

参考:浜松市

 

通常、降下空間は以下のように規定されています。📚

 

 

避難はしごの降下空間
避難はしごの降下空間
避難ハッチの降下空間
避難ハッチの降下空間 (開口部と同じ大きさ)
緩降機の降下空間
緩降機の降下空間

紐を引くと捲れるテント


本現場では、避難器具の設置義務が生じた3階部分から “地上” で直接避難できなかったことに加え、下の階である2階部分にも “ひさし” に該当するオレンジ色のテントが張ってありました。🍊

 

 

その為、まず初めに “降下空間” を確保するためにテントに加工を施すことが求められました。(;´Д`)ノ✂💦

 

以下、吊下げ式避難はしごを下の階に降ろすために設けたテントの加工と、避難はしご展張の様子です。📷✨

 

上階からテントをめくれる
上階からテントをめくれるように加工。
紐を引き開口を作り梯子を
紐を引いて開口を作ってから梯子を垂らす。
十分なスペース
下から見ると十分なスペースを確認できる。

2階から1階へは再び…。


テント開口部
テント開口部を上階から覗くと…。
避難はしごで再度降りる
1階まで避難はしごで再度降りる…。

他の防火対象物でも起こった“設置できない問題”


新しく(3)項ロ 飲食店を開業するに際して、避難器具の設置が必要となった防火対象物がありました。🍰

 

無窓階開口部が一か所しかなかったのですが、それが以下のような具合で大変困りました。💔(;´Д`)💦

アーケード上の電線
ドアを開けたらアーケード上の電線が!
アーケードとの間隔
商店街アーケードとの間隔も狭い。
アーケード上の消防隊専用通路
アーケード上の消防隊専用通路。

こちらの商店街の並びでは、“特例” として商店街アーケード上の赤い消防隊専用通路” を使うことで避難器具の設置を免除するという措置が取られている防火対象物もあるそうなのですが、本件では物理的に不可能という判断でした。(;´・ω・)🚫

 

また、アーケードとの距離も近い他、2階の同じ場所にも避難器具があったため “降下空間” を設けることも困難でした。⚠💦

 

その為、消防法に則った避難器具の設置は困難であると判断され、以上の当該条件を考慮した特例が適用される運びとなりました。💡

専用のタラップに固定


“ナスカンフック式”の避難はしご
タラップに“ナスカンフック式”の避難はしごを固定。

結局、専用の “タラップ” にワイヤーロープ式の “ナスカンフック” を用いて固定する避難はしごを設けることなりました。🚪

 

本件は収容人数の変更があり “自主設置扱い” になったため、最終的には特例認定云々の絡みも無くなりました。💯(;´Д`)👌✨

避難はしご固定用の挟み込み“タラップ”
避難はしご固定用の挟み込み“タラップ” ※クリックで拡大

避難器具を固定する箇所は、万が一避難器具をつけた箇所もろとも崩れては危険ですので、ちゃんと着工届設計届に添付する必要があります。📎

 

ちなみに、避難ハッチ緩降機は “着工届” に、置くだけの “避難はしご” は “設計届” に強度計算書をつけます。🔢

 

✍(´-`).。oO(こちらは大阪市のルールでして…、、都道府県によって異なるようです…。。)


✍(´-`).。oO(以上、既設建物に避難器具の設置義務が生じた場合に…、、構造的に設置が不可能なケースには “特例” を適用せざるを得ないことがある事を紹介させて頂きました…。)

 

このように防火対象物の条件は様々なので、当業界においてまだまだ人間がする仕事が残っていそうです。📝👥💦

まとめ


  • 安全な広場・道路に面しているする “避難空地” を設けられる箇所が無かったため、“吊下げ避難はしご” で一つずつ下の階に降りていく特例が適用された現場があった。✅
  • “降下空間” を確保するために、テントに加工を施した。✅
  • “特例” として商店街アーケード上の “赤い消防隊専用通路” を使うことで避難器具の設置を免除するという措置が取られている防火対象物もあった。✅