火災通報装置と自動火災報知設備の連動が義務化された背景
消防法施行規則の一部を改正する省令(平成25年総務省令第126号)が、平成25年12月27日に公布されました。
これにより、認知症高齢者グループホーム等(令別表第1(6)項ロ及び(6)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する防火対象物)に設ける消防機関へ通報する火災報知設備(火災通報装置)にあっては、自動火災報知設備(自火報)との連動が義務付けられました。
この改正は、多数の死傷者が発生した認知症高齢者グループホームの火災事例を教訓として、火災発生時の消防機関への通報を自動化し、死傷者の発生を予防するためのものです。
- 施行:平成27年4月1日
- 猶予期間:平成30年3月31日まで(平成27年4月1日時点で既存防火対象物だったもの
参考:いわき市消防本部
火通連動工事に伴う着工届と設置届の提出
「消防機関 へ通報する火災報知設備を自動火災報知設備との連動起動とする場合に連動停止スイッチ箱の機器等を取り付ける工事は、工事とする。」と定められています。
そのため、直接通報のために火災通報装置と自動火災報知設備の受信機を接続する工事は、消防設備士(甲種第4類)が届出をし、適切に行わなければなりません。
参考:日本消防設備安全センター「消防設備士講習用テキスト」
専用連動停止スイッチを設ける場合
また、堺市においては“連動停止スイッチを設けてはならない”とされています。
法改正により、(6)項ロのすべての防火対象物に設置されます。
それらの火災通報装置が自動火災報知設備と連動して作動することにより、消防署への直通電話による連絡が増加すると考えられます。
ここで問題となるのが、非火災報による通報です。
感知器の誤作動や、誤って発信機(押しボタン)が押された際にも、消防署に通報されてしまいます。
施設によっては、自動火災報知設備の老朽化などで誤報が頻繫に起こる箇所もあるのが現状でしょう。
そのような際に、消防署へ通報すると困るため、施設の方が連動停止スイッチを押してしまう事も考えられます。
それでは、有事の際に消防署に通報されません、
また、消防訓練の際に連動停止スイッチを押し、そのまま復旧されず連動しなかったなどの事態も可能性としては考えられます。
(´-`).。oO(絶対に、あってはなりません。。!!)
つまり、堺市の考え方は、非火災報に応対する手間や、管理上で少し不便になることよりも、確実に自火報と連動して、消防署に連絡が来ることを優先させたものであるといえます。
参考:堺市
既設の自火報受信機に配線を追加する場合
既設の受信機で、移信停止用のスイッチが空いていれば、それに火災通報装置と繋ぐことで連動を停止することが可能です。
(´-`).。oO(現行の受信機は移信停止ボタンが数個あることも…。。)
この場合、配線のみとなるため、法令上の軽微な工事として設置届の提出だけで足りると考えられます。
(´-`).。oO(設置届の工事種別は「その他(配線)」です…。。)
ただし、移信停止スイッチ等が空いておらず、専用の移報信号用リレーユニット等を追加して配線する場合は“改造”にあたるため、着工届が必要となります。
(´-`).。oO(移信停止スイッチには警備の線が入っていることが多いです…。。)
また、羽曳野市を例に挙げますと、専用の連動停止スイッチは、受信機の外に別置きしなければなりません。(;´Д`)!!!
このように、市の予防条例等で、その詳細について定められている場合もあります。
(´-`).。oO(やはり所轄消防署との事前協議 は欠かせません。。)
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まとめ
- 堺市では、連動停止スイッチを受信機と別置きで設置してはならないなどの条例もあった。
- 羽曳野市は、堺市とは対照的に連動停止スイッチを必ず受信機と別置きで設置することが定められていた。
- 一概に着工届の要・不要は判断することは難しいため、所轄消防署との事前相談は欠かせないことが分かった。
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