先日、消防用設備点検を行った工場が、すべて誘導標識が設置されており、誘導灯がないという防火対象物でした。💡
改めて誘導灯の設置基準を確認したところ、令別表1において(12)項 イにあたる工場・作業場は “地階・無窓階・地上11階以上” の場合に限り誘導灯の設置義務が生じるものでした。🚒
そして、(7)項の学校系に分類される防火対象物も、同様の “地階・無窓階・地上11階以上” の場合という設置基準でした。🏫
ここで気になったのことがありました。
以前、小学校の改修工事の一つで、施工時の誘導灯パネルの避難方向を示す向きが間違っていたため “上から誘導標識を貼る” という奇妙な改修依頼を受けたことがありました 。👹
わけのわからない状況だな…と思いつつも、管理人はペタペタと標識を貼り、パシャパシャと写真を撮っていました。(;´Д`)📷✨笑
あれは良かったのか?と今更思い、青木防災社長に聞いたところ、以下のような回答が返ってきました。……✍(´-`).。oO
大阪市火災予防条例
青木社長👲.。oO(日中しか使わん部分やったら誘導灯じゃなくてもええっていう条文があんねん。)
|д゚)❕
そうなのかと思い、社長がおもむろに本棚から出してきた “大阪市火災予防条例” の冊子をみて、以下の条文を確認いたしました。
(誘導灯に関する基準)
第 45 条 令別表第 1(5)項ロ、(7)項及び(12)項に掲げる防火対象物(同表(16)項ロに掲げる防火対象物に存するものを含み、同表(7)項に掲げる防火対象物のうち日出時から日没時までの間のみ使用する防火対象物で採光が避難上十分であるものを除く。)で、床面積の合計が300㎡のものには、避難口誘導灯を設けなければならない。
ここで、ついでに解説ですが、大阪市の場合、(5)項ロ 共同住宅・(7)項 学校系・(12)項イ 工場及び作業場・(12)項ロは “無窓階” でなくても “床面積の合計が300㎡以上” であれば誘導灯の設置義務が生じます。
✍(´-`).。oO(各市町村で…、、少しづつ異なるようです…。。)
誘導灯への誘導標識貼付け
もともとこの小学校の廊下に関しては、誘導灯でなくてもよかったため、誘導標識を貼り付けることで改修となりました。(´・ω・`)👌
ちなみに、誘導標識に関しては “全ての防火対象物” に設置義務があります。(・ω・)ノ✨
(´-`).。oO(誘導灯が設置される部分に関しては、誘導標識の設置が免除されている、という考え方でもよろしいかと…。。)
まとめ
- 工場・作業場は “地階・無窓階・地上11階以上” の場合に限り設置義務が生じるものであった。✅
- 学校系のうち、日出時から日没時までの間のみ使用する箇所で採光が避難上十分であるものは誘導灯でなくてもよかった。✅
- 誘導灯に誘導標識を上から貼り付けるという改修はあり得ることが分かった。✅
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石川梨香 (火曜日, 20 11月 2018 09:58)
こんにちは。
いつもこのサイトで勉強になっております。
私にもわかる、素人目線で解説されているので、とても理解しやすいです。
ところで12項イの誘導標識の設置ですが、
高輝度蓄光式誘導標識、中輝度蓄光式誘導標識のどちらを設置しようか迷ってます。
工場棟のみで延べ面積約1,500㎡くらいあります。
現在、工場内に8台の誘導灯(東芝ライテック製LEDではない)が設置されており、
そのうちの6台がバッテリー不良なのですが、
私としては、バッテリー交換(意外と高価格)よりLED誘導灯へ変更し、
現在の8台設置台数を減らすことができれば、その分誘導標識へ変更したいのですが、
誘導標識も高輝度と中輝度で価格が違うので、エキスパート揃いの貴社が
施工するなら、どう施工するかアドバイスいただきたくお問合せしました。
管轄の消防署へお伺いたてる前に、いいアドバイスがあればご教授ください。
管理人 (火曜日, 20 11月 2018 11:19)
>石川梨花さん
いつも有難うございます!コメントありがとうございます。
さて、ご質問の回答ですが「条件次第」です。続きに2パターンを示しますのでご確認くださいませ。
まず、誘導灯の設置義務が生じている防火対象物(建物)かどうかで判断が分かれます。
①無窓階扱いであれば誘導灯の設置義務が生じますが、そうでなければそもそも誘導標識の設置が可能ですから輝度は気にしなくても構わないということになります。有窓・無窓の判定は所轄消防署に問い合わせれば分かりますので確認してみて “有窓であれば中輝度でもOK” です。
ただ、本文中にもありますとおり大阪市の場合は(12)項イ 工場でも延べ面積300㎡以上で誘導灯の設置義務が生じますからその場合は誘導灯or条件次第で高輝度誘導標識の設置となります。
既設で誘導灯が付いているという事で、誘導灯の設置義務が生じている建物であったと仮定すれば以下の通りです。
②誘導灯に代えて設置できる蓄光式の誘導標識は高輝度誘導標識のみです。(消防庁告示第二号より)
また、消防予177の通知にて蓄光式誘導標識に求められる性能が、停電してから20分経過時の標識表面が100mcd/㎡以上というものがあり、この条件は高輝度誘導標識しか満たしていません。(中輝度は24以上~100未満のものを指します)
加えて、高輝度誘導標識にも等級があり、20分後輝度の数値も異なるのですが、当該箇所の照度が200㏓以上、つまり明るいところに設置するのであれば100mcd/㎡以上として差し支えないという条文もありますから、設置箇所しだいで高輝度誘導標識の等級つまりコストも変わってきます。
そして、等級が高い高輝度誘導標識の価格と、LED誘導灯の価格を比べると…というケースも発生したりします。一度調べてみて下さいませ。
もちろん電気代云々は誘導標識の場合かかりませんが、LED誘導灯の点灯にかかるコストは月何円の世界かと。
その為、既設建物の点検時の不良個所でこのようなご相談があった場合は、LEDの誘導灯への交換を勧めさせて頂きますね。
もちろん蛍光灯タイプのバッテリー交換を行うこともありますが、割高なことに加えて生産終了しているケースもあります。
�(´-`).。oO(消防用設備の施工・メンテナンスは…、、青木防災㈱にお任せくださいませ…。。笑)
石川梨香 (火曜日, 20 11月 2018 14:25)
管理人さま
とても丁寧な解説、アドバイスありがとうございます。
お話が横道それてしまうのですが、
貴社のように、お客様に対し法に基づいたアドバイス、知識を身につけて、
コンサルタントできるようになりたいと思っております。
今回のように、蛍光灯タイプの誘導灯をLED誘導灯へ交換を勧めたいのですが、
バッテリー交換のほうが誘導灯本体交換よりも、初期費用はお手頃価格なため、
首を縦に振ってくれるような見積りを、どういう風に作成したらいいのか悩んでおります。
このケースは結構頻繁にあるので、今後の課題でもあります。
管理人 (水曜日, 21 11月 2018 11:15)
>石川梨華さん
こんにちは!
消防法や建築基準法で定められている消防用設備云々の話は、お客様が知らないことばかりですから、情報提供と言いますか、法に基づいたご提案を少しさせて頂くだけで、随分喜んで頂けることもありますからコンサルのニーズもあると私も思っています。
ただ、一番いいのは、自分で調べて確かな知識を身につけて行動できることだと思っていて、このようなページをせっせと作っています。笑
誘導灯に関しては “現行基準” に沿ったものは実はLED誘導灯で、例えば民泊案件のアパート・マンションなんかは、共同住宅⇒民泊への用途変更に際して、避難経路となる共用部分の蛍光灯タイプの誘導灯を全てLEDに交換するよう所轄消防署より指示されます。
法に基づく提案以外だと、お客様にとってメリットがあるコスト削減については注目度の高い情報ですから、ランニングコストを計算してお得っぷりをアピールするのも本体交換の提案に対して首を縦に振ってもらうための一つの手段だと思います。
お客様によって所謂 “営業” の方法は様々ですが、如何に必要かを納得して頂くための“根拠”となるもの提示できれば強いですね。