· 

ハロゲン化物消火設備の点検

防護区画内にハロンガスが充満していることを警告・表示
防護区画内にハロンガスが充満していることを警告・表示。

今回点検しました “ハロゲン化物消火設備” は、第3類のガス系消火設備に分類される消防用設備の一つです。

 

限られた用途の防火対象物にしか設置されない(設置できない)ため、珍しい消防用設備であるといえます。

 

火災発生時には、防護区画の出入口に設けられたシャッターが自動で閉鎖し、密閉されます。

 

そこに、ハロゲン化物消火薬剤を充満させ、燃焼の連鎖反応を抑制する化学反応により消火を行います。

 

点検時の模様を、続きに記していきます。……✍(´-`).。oO

ハロゲン化物消火設備の点検準備


今回現場に設置されていた薬剤は “ハロン1301” というもので、クリティカルユース(必要最小限の使用)のみが認められたものです。

その理由は、オゾン層破壊が懸念されるためで、みだりに大気へ放出されることは抑制しなければなりません。

 

総合点検時には、放射試験を行いますが、その試験用のガスは “窒素または空気” とすることが定められています。

 

✍(´-`).。oO(実際にハロン1301を設置現場に充満させるような点検はしませんできません…。。)

①容器弁開放装置の取外し


加圧ガスで容器からハロン薬剤
加圧ガスで容器からハロン薬剤が出ないように…。
ハロン放出を防止
このように外しておくことでハロン放出を防止。
全ての薬剤容器に
全ての薬剤容器に同様の処置を…。(今回2箇所)

②起動用ガス容器の電磁弁取外し


起動・放出用のCO₂が収納された箱
起動・放出用のCO₂が収納された箱。
電気信号によってCO₂容器を開
電気信号によってCO₂容器を開ける仕組み。
電磁弁への電気信号をカット
電気信号が行かないように電磁弁から線を抜く。

電磁弁自体をCO₂容器と離す
電磁弁自体をCO₂容器と離します。
計3つの電磁弁
計3つの電磁弁を取り外しました。
ケーブル再接続
後の試験用に外した電磁弁にケーブル再接続。

ハロゲン化物消火設備の作動試験


実際にハロゲン化物消火設備が作動した際に、正しく機能するかを試験項目に沿って点検し、合否を判定します。

③警報スイッチの点検


ハロン1301消火設備の手動起動装置
ハロン1301消火設備の手動起動装置。
警報スイッチをON
矢印部分の警報スイッチをONに。
制御盤上で警報の表示を確認
制御盤上で警報の表示を確認。
音声警報装置の動作
音声警報装置の動作も確認。

④起動ボタンと非常起動停止ボタンの点検


黄→起動ボタン, 橙→非常起動停止
黄→起動ボタン, 橙→非常起動停止
制御盤で“警報”と“火災”の表示確認
制御盤で“警報”と“火災”の表示確認。
自火報受信機で火災表示確認
自火報受信機で火災表示確認。
起動後30秒でソレノイド動作。
起動後約30秒でソレノイド動作。

⑤ガス放出試験


圧力スイッチつまみをひく
圧力スイッチつまみを引く。
制御盤で“ガス放出”の表示確認
制御盤で“ガス放出”の表示確認。
“ハロンガス充満”表示確認
現地で“ハロンガス充満”表示確認。
総合点検時は窒素又は空気を放出。
総合点検時は窒素又は空気を放出。

ハロゲン化物消火設備の復旧


作動試験後は、元通りに復旧します。

 

(´-`).。oO(復旧させるときに点検すべきポイントも…。。)

⑥ソレノイド復旧


電磁弁後ろのシールをゆっくり取る
電磁弁後ろのシールをゆっくり取る。
白い部分を上に戻す
白い部分を上に戻す。
ソレノイド先端にコックを装着
ソレノイド先端にコックを装着。
床面につけて押す
床面につけて押すと針が戻る。

⑦起動用ガス容器と消火薬剤容器弁の復旧


✍(´-`).。oO(このボンベの点検は同じ3類の “移動式粉末消火設備” の点検時にも行いますね…!!)

電磁弁を戻す前に容器をとる
電磁弁を戻す前に容器をとる。
吊り秤で重さを計測
吊り秤で重さを計測。
点検報告書に記載
点検報告書に記載します。
容器弁の復旧
容器弁の復旧も忘れずに。

その他


ハロゲン化物消火設備の蓄電池設備
ハロゲン化物消火設備の蓄電池設備。

上記の他にも点検すべき箇所は多くありますが、スペース上割愛させていただきます。(´-`).。oO (蓄電池設備など……。。🔋)

 

点検報告書の試験項目を参考に、3類の消防設備士もしくは点検資格者の方に正しく点検していただければと思います。

 

以下は、ハロゲン化物消火設備が設置する防火対象物の用途です。

  • 通信機関係
  • 美術品展示室
  • 加工作業室・鍛造室
  • 危険物を扱う塗装室
  • 駐車場・自動車修理場

上記のような、液体や粉体で汚したくない場所や、防護区域を効果的に密閉できるような場所で有効に消火を行うことができます。

 

(´-`).。oO(ハロンは現場を汚しません……。。✨)


自己救命脱出器 (任意設置)


ハロン防護区域から逃げ遅れた場合の酸素ボンベ
ハロン防護区域から逃げ遅れた場合の酸素ボンベ。
ハロン充満による窒息を防ぐ
現場でのハロン充満による窒息を防ぐことができます。

まとめ


  • 今回点検したハロゲン化物消火設備の消火薬剤は、ハロン1301であった。
  • ハロン1301は、クリティカルユース(必要最小限の使用)のみが認められるものであった。
  • 設置できる防火対象物の用途が限られているほか、実際に放射試験をする際は窒素又は気体を用いる必要があった。

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    石川梨香 (日曜日, 03 2月 2019 22:39)

    お疲れ様です。

    今回、弊社も下請でハロンガス撤去取替を初めて経験しました。
    現場からボンベも重く、肉体的に結構きつかったと聞いていたので、
    どんなことをしているのかこちらのブログでわかりました。
    割に合わない仕事ってボヤいてました笑

  • #2

    管理人 (月曜日, 04 2月 2019 09:31)

    >コメントありがとうございます!
    ボンベ交換は搬入がキーですね…、現地調査の時はルートを確認しないとエライ目にあいます。笑
    仰る通り、重たすぎるので専用の台車を使って運ばれます。会社で初めて台車を見たときはナニコレ…って感じでした。
    �(´-`).。oO(割に合うように…、、交渉させて頂きましょう…。。笑)