以前、消火器を交換してほしいというご相談を頂き、現場に消火器数本をもって行ったところ、移動式の粉末消火設備であったことがありました‥‥。☎(;´Д`)💡💦
移動式粉末消火設備の総重量は85kg程度であるため、持って帰ることすらできません。☞改修工事についてはコチラ
移動式粉末消火設備と消火器は、消防法上では全く別の扱いです❕❕🚒
そのような間違いを防ぐために、そして有事の際に移動式粉末消火設備を適切に使用するためにも、続きをお読みください。
粉末消火設備について
参考:初田製作所
まず粉末消火設備は、 “スプリンクラー設備” や “泡消火設備” のように噴射ヘッドから粉末が出る機構のものとなります。(これを固定式とは言わない)🚙
それのホース・ノズルを用いた機構をもつ移動式粉末消火設備も、3類の消火設備に該当します。
✍(´-`).。oO(消火器は6類の消火設備です…。。)📚
文字通り、“移動式” の粉末消火設備は、駐車場などの開けた場所に設置されます。🏮
消火する際は、使用者がホースを持ち、火元に向けて粉を噴出するという動作が必要になります。(;´Д`)💦🔥
消火器にも使用されている粉末消火薬剤は、ほとんどの火災を有効に消すことができる万能性があるため、それを大型化したものが粉末消火設備というわけです。(・ω・)ノ💡
移動式粉末消火設備の設置基準
参考:川崎市
移動式粉末消火設備は、駐車場に設置されていることが多いため、
日常的に目にすることができる消防用設備の一つであるといえます。(・ω・)ノ🌱
駐車スペースの床面積が
- 地階または2階以上の階にあっては200㎡以上
- 1階は500㎡以上
- 屋上部分は300㎡以上
の場合に移動式粉末消火設備を設置することができます。🚗🚙
移動式粉末消火設備の薬剤噴射時は、薬剤が空気中に舞います。
そこに火災の煙も相まって周囲が煙で充満するため、煙が充満しにくい場所への設置に限られます。🌀
移動式粉末消火設備は水平距離が15 m 間隔で設置します。👥
(´-`).。oO(ホースの長さは20 mです‥‥。)
消火薬剤はABC消火器と同じリン酸アンモニウムのものが多いようです。🌸
(´-`).。oO(消火器と同じ、第3種粉末消火薬剤です…。。)
2類の泡消火設備を準用することによって、移動式粉末消火設備を設置できる場合や、設置場所に応じた薬剤を使用しなければならないケースもございます。
移動式粉末消火設備を設置する場合は、必ず所轄消防署との事前協議の方をお願いいたします。🚒
移動式粉末消火設備の操作方法
移動式粉末消火設備のドアを開けると、中はこのようになっています。🚪|д゚)
緑色のボンベに “1⃣” などと、シールが貼ってあるのが分かりますか?
(´-`).。oO(見にくい場合は…、、すみません‥。。)
この移動式粉末消火設備に関しては操作する順番がシールにて記してあります。以下に操作手順を説明します。
①加圧用ガスボンベのバルブを全開にする。
→緑色の炭酸ガスボンベの黄色いバルブを全開にすることで、加圧用CO₂が出てきます。
②放出弁を全開にする。
→薬剤の入った赤色の容器右下の “2⃣” と記してある横に、黄色いレバーがあります。これを全開にすることで、薬剤容器本体内部に加圧用CO₂が流れ込みます。
③ホースをのばし、ノズルレバーを全開にする。
→画像右下に、水色のホース先端があります。
これをもって、火災発生場所までホースをのばして向かいます。
そして、ノズルについているレバーを全開にすることで加圧力によって押し出された消火薬剤が噴出します。
※消火の際は、火の“根元”を狙います。また、ノズルを左右に掃くように動かして薬剤をまくと効率よく消火できるようです。💦🔥
移動式粉末消火設備の設置
移動式粉末消火設備の設置は、パッケージ消火設備と同様に “表示灯” のための配線工事が発生するくらいです。💡✨
🔥(´-`).。oO(配線工事で使用する電線は “耐熱電線” を利用してくださいね…!!)
移動式粉末消火設備の点検
平成22年9月に、新潟県柏崎市の施設の駐車場で火災が発生しました。🔥
その時、消火を試みた際に、移動式粉末消火設備の加圧用ガス容器の容器弁が開放できない不具合が発生したため、粉末消火設備の点検基準が改正されました。
消防用設備点検の際は、二度とこのような事が起こらないよう、しっかりメンテナンスしましょう!(;´Д`)👌
参考:日本消防設備安全センター
Twitter上での“移動式”に関する“つぶやき”
Twitter上にて、石井マーク様(@ishiimark_sign)が “移動式粉末消火設備” の写真を投稿された際に、『消火器が入っているのですか?』という質問を受けられておりました。💡
その際に詳細について弊社をご指名頂きまして、答えさせて頂きました!!(;´∀`)👌✨
貴重な機会を頂けました事、大変ありがたく思います。<(_ _)>💻
以下にリンクにて、内容を紹介させて頂きます。👀✨
— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) 2017年10月24日
見た目は消火器に近いですが薬剤量だけでも数十kgもあるバケモノが内蔵されておりますから、持ち運ぶのではなくホースを伸ばして使用する消火設備の一つと解釈しております。
— 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) 2017年10月24日
車輪の付いた車載式とも違った、この「移動式」と呼ぶ定義については詳しく存じませんが、斯様な時は
青木防災㈱さーん!
ご指名有難う御座います!
— 青木防災㈱【公式】🤖 (@aokibosai) 2017年10月24日
実は、“粉末消火設備”という、簡単に言えばスプリンクラー設備における水の代わりに、“粉”で消火するものがあるのです(これを“固定式”とはいわない)。
それと比較して、駐車場等にある写真の粉末消火設備は、ホース・ノズルがある為、“移動式”と呼ばれています。
そして、カルロス様…あ 石井マーク様がおっしゃる通り、消火器と比較するとその能力はバケモノです。笑
— 青木防災㈱【公式】🤖 (@aokibosai) 2017年10月24日
そのバケモノ性ゆえ、屋内に設置できません。
もし、屋内で噴射すると粉が舞い一面真っ白となり視界が奪われます。
その為、立体駐車場などの開けた場所でのみ見かけることができるはずです。
ちなみに現行のものは、以前のものと比較すると少し細身になっています。
— 青木防災㈱【公式】🤖 (@aokibosai) 2017年10月24日
他の消防用設備と同様に、古いものと新しいものを交換するお仕事を頂くことがあるのですが、持った感じ重量も結構異なると感じました。
現行のものは二人で何とか運べましたが、古いものは三人でギャーギャー言っていました。 pic.twitter.com/O4JQAGb3qb
【※追記】
- 新ブログ「移動式粉末消火設備の交換工事【難易度:★★★★☆】」も併せて、ご覧下さいませ!
まだ3類の消防設備士免状持ってないの?
上記の “移動式粉末消火設備” が消火器具ではなく、粉末消火設備として3類の消防用設備に分類されるのは記載した通りです。📝✨
3類の参考書を開けてもらうと分かりますが、その他には “二酸化炭素消火設備” や “ハロゲン化物消火設備” などのガス系消火設備がメインとなっています。👻♪
ガス系の消火設備は何と言っても現場を汚さないのが特徴で、大規模な変電所や美術館などにインストールされているのを見かけたことがあります。⚡
一方、点検時の事故が起こりやすいのが難点で、二酸化炭素消火設備にあっては作動した部屋にいた段階で即死です。💀💦
消防設備士として広く活躍する為に、是非この機会に3類の消防用設備の資格試験に挑戦して頂きまして、共に防災業界を担っていただける方が一人でも増えれば本望で御座います。🌎
まとめ
- 立体駐車場では移動式粉末消火設備に加えて、天井から火災を感知して自動的に消火が始まる “泡消火設備” が準用される。✅
- 移動式粉末消火設備は自らの手で操作し、消火活動を行う必要がある。✅
- 移動式粉末消火設備の加圧ガス用バルブが開かないという事案が発生したため、点検の際は密栓後、容器弁の開放を確かめる。✅
コメントをお書きください
すーさん (月曜日, 21 5月 2018 19:20)
移動式粉末消火器を設置するにあたって、消防に届出は必要ですか?
管理人 (月曜日, 21 5月 2018 20:03)
>すーさん
コメント有難う御座います。
軽微な工事でも、設置届は必要になります。
https://www.aokibosai.com/2017/08/01/%E8%A8%AD%E7%BD%AE%E5%B1%8A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
また、移動式の粉末消火設備の場合、"既設と同種類のもの"を増設する場合のみ、軽微な工事に該当しますので、現在設置されていない箇所に新設する場合や、既存の物と同じ型のモノが現在売られていない場合は “着工届” から提出する必要があります。�
https://www.aokibosai.com/2016/07/30/%E7%9D%80%E5%B7%A5%E5%B1%8A%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
三又 (水曜日, 17 7月 2019 17:42)
駐車場にある移動式粉末消火設備の点検で放射試験を行う必要はありますか???
管理人 (木曜日, 18 7月 2019 16:59)
>三又さま
コメントありがとうございます!
移動式粉末の放射試験は行う必要ありません。
やろうとすれば、なかなか大変だと思います。
移動式粉末消火設備の点検については、以下の通りです。
【機器点検】
表示灯及び標識が適正に設けられていること。
【総合点検】
手動式起動操作部の操作により起動させ、次の事項について確認すること。
ア ノズル開閉弁…異常が無く、試験用ガスが放射されること。
イ ホース及びホース接続部…試験用のガスの漏れが無いこと。
固定式と同様に、空気が出てくるかを確認して合否を判定するルールになっています。
参考:消防用設備等 点検実務必携
今後とも、よろしくお願いいたします。�
素人管理員 (火曜日, 16 6月 2020 19:11)
粉末消火設備に耐用年数はありますか?
ボックスごと交換するんでしょうか?
管理人 (水曜日, 17 6月 2020 13:36)
>素人管理員 様
コメント有難う御座います!!�
移動式粉末消火設備は消火器の様に明確な耐用年数は規定されていませんが、メーカーの資料によると16~20年でオーバーホール(実質、取替えの方が安い可能性大)とのこと。
https://www.yamatoprotec.co.jp/maintenance/kaisyu/pdf/mentepanf_2017.pdf
未だに、歴史のある移動式粉末消火設備が街中で活躍していますね。
ちなみに、表示灯の電源が配線工事不要の太陽光パネルタイプであれば、それの寿命が10~15年です。こちらは点検時に交換したことが何度かあります。
https://www.ndc-group.co.jp/products/fire_extinguisher/data/catalog/mobile_package_catalog.pdf
今後とも、何卒宜しくお願い致します!!�
SUG (金曜日, 08 1月 2021 11:58)
設置位置は方眼さえ満たしていれば、目視できない位置でも可能でしょうか?(柱の影など)
管理人 (火曜日, 12 1月 2021 17:44)
>SUG様
コメント有難う御座います!
消防法施行規則第21条にて「第十九条第六項第二号から第五号の二まで並びに前項第一号、第二号、第三号イからホまで、第四号から第七号まで及び第十号の規定の例による‥」とあり、以下の文言が謳われています。
『貯蔵容器の直近の見やすい箇所に赤色の灯火及び移動式不活性ガス消火設備である旨及び消火剤の種類を表示した標識を設けること。』
包含を満たし、かつ見やすい位置に設置することになっています。
柱の陰になっている箇所も現場によってはありますが、できるだけ見やすい位置がいいでしょうね。
もちろん、見えない位置は避けます。
今後ともよろしくお願いいたします。
M太郎 (火曜日, 02 3月 2021 16:15)
旧規格消火器は2021年12月31日までに交換が必要となっていますが、
2011年以前に製造された移動式粉末消火器はこの消防法令は適用されますか?
管理人 (月曜日, 08 3月 2021 10:22)
>M太郎 様
コメント有難う御座います!
第3類の消火設備である粉末消火設備と、第6類の消火器に適用されるルールは異なります。
移動式粉末消火設備の消火薬剤もリン酸アンモニウムですが、こちらは消火器ではないので交換対象とはなっていないでしょう。
今後共、何卒宜しくお願い致します!
田の中バトル (土曜日, 22 1月 2022 13:10)
移動粉末消火設備の範囲には消火器は設置しなくても良いんですか?
管理人 (金曜日, 28 1月 2022 09:55)
>田の中バトル 様
コメント有難う御座います!
消火器具は6類の消防用設備で、粉末消火設備は3類の消防用設備となっており、別の分類である為、移動式を設置しても消火器の設置義務自体が無くなることはありません。
ただし、緩和規定があり、その基準に則って粉末消火設備が設置されていた場合は、建物に対する消火器の必要能力単位を1/3に減少できるルールがあります。
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/f/img/items/pdf/sample/5100034.pdf
しかし、これも現在の粉末ABC消火器は能力単位が高く、主に能力単位ではなく歩行距離20m毎および階ごとに設置する規定に則って設置されている場合が殆どですから、実質消火器の設置本数を減らせるケースは少ないです。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。
G (金曜日, 25 3月 2022 16:51)
いつもありがとうございます。大変参考させて頂いております。
1点質問なのですが、移動式粉末消火設備の中の薬剤の詰替基準はあるのでしょうか?
今は5年に1回詰替ているのですが、法的根拠が良く分からず・・・
ご教示頂けると幸いです。
管理人 (月曜日, 28 3月 2022 19:15)
>G様
コメントありがとうございます!
薬剤詰め替え5年に1回は相当保全に力入れている物件と思われます。
本体更新16~20年といった基準は謳われる事ありますね。
法的根拠は無いでしょう。目安が消火装置工業会で謳われるか、その建物の消防計画等で謳っている(確率は低い)可能性くらいが考えられますね。
保全はいいことですが、費用かけすぎてもお客様からしたら?なので業者さんに理由伺ってみてはいかがでしょうか。
今後共、何卒宜しくお願い致します。
G (火曜日, 29 3月 2022 11:04)
管理人様
ご回答頂きありがとうございました。
点検業者に聞いてみたら、点検基準で「任意の5ユニットから1つを選び、放出試験をする」ことになっており、その通りはなかなかできないので、5年に1回薬剤交換をすればほぼ点検基準を満たすことになるから・・・との回答でした。
若干対応に疑問が残るので、引き続き業者と対応を相談してみます♪
ビリケン太郎 (月曜日, 25 7月 2022 11:08)
いつも参考にさせて頂いています。
分かりやすい記載で助かってます。
実例があれば教えていただきたいのですが、スプリンクラー設備の設置の免除される部分の中に各種消火設備の有効範囲内の部分とありますので移動式粉末消火設備もそれに含まれると思うのですが、実際に例えばホテルの中に移動式粉末消火設備を設置してスプリンクラーヘッドを免除したような例はありますでしょうか?移動式粉末消火設備をホテル内に設置しようとしても「著しく煙が充満する場所以外」ってところで引っかかるので設置できないとおもいますが間違っていますか?
よろしくお願いします。
Naoki (木曜日, 27 4月 2023 18:29)
いつも参考にさせて頂いております。1点質問させて下さい。
移動式粉末消火設備の総合点検の試験用ガスによる放射は「ユニット5個以内ごとに任意のユニットで・・・」となっていますが、「任意のユニット」とは、階層が違ったり、建物が違ったりしても、良いのでしょうか?
よろしくおねがいいたします。