総合操作盤の基準を定める件


平成十六年五月三十一日

消防庁告示第七号

 

消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十二条第一項第八号(第十四条第一項第十二号、第十六条第三項第六号、第十八条第四項第十五号、第十九条第五項第二十三号、第二十条第四項第十七号、第二十一条第四項第十九号、第二十二条第十一号、第二十四条第九号、第二十四条の二の三第一項第十号、第二十五条の二第二項第六号、第二十八条の三第四項第十二号、第三十条第十号、第三十条の三第五号、第三十一条第九号、第三十一条の二第十号及び第三十一条の二の二第九号において準用する場合を含む。)の規定に基づき、総合操作盤の基準を次のとおり定める。

第1 趣旨


この告示は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号。以下「規則」という。)第十二条第一項第八号(第十四条第一項第十二号、第十六条第三項第六号、第十八条第四項第十五号、第十九条第五項第二十三号、第二十条第四項第十七号、第二十一条第四項第十九号、第二十二条第十一号、第二十四条第九号、第二十四条の二の三第一項第十号、第二十五条の二第二項第六号、第二十八条の三第四項第十二号、第三十条第十号、第三十条の三第五号、第三十一条第九号、第三十一条の二第十号及び第三十一条の二の二第九号において準用する場合を含む。)に規定する総合操作盤の基準を定めるものとする。

第2 構造及び機能


総合操作盤の構造及び機能は、次に定めるところによる。

  • 一 総合操作盤は、表示部、操作部、制御部、記録部及び附属設備で構成されるものとし、防火対象物の規模、利用形態、火災における人命安全の確保、防火管理体制及び消火活動の状況に応じて、円滑に運用できる機能を有するものとすること。
  • 二 耐久性を有すること。
  • 三 周囲温度が零下五度以上四十度以下(二十四時間の平均温度が三十五度を超えないものに限る。)であって、次に掲げるいずれかの使用状態において電源の電圧が定格電圧の九十パーセント以上百十パーセント以下の範囲で変動した場合に機能に異常を生じないこと。

(一) 四十度のときの相対湿度が五十パーセント以下であって、二十度のときの相対湿度が九十パーセント以下

 

(二) 零下五度以上三十度以下のときの相対湿度が九十五パーセント以下であって、四十度のときの相対湿度が五十パーセント以下(周囲温度が三十度以上四十度以下の周囲温度及び相対湿度の変化が直線的であるものに限る。)

  • 四 主要部の外箱の材料は、不燃性又は難燃性のものとすること。
  • 五 接点、コネクターその他の腐食により機能に異常を生ずるおそれのある部分には、防食のための措置が講じられていること。
  • 六 配線は、十分な電流容量を有し、かつ、接続が的確であること。
  • 七 外部から容易に人が触れるおそれのある受電部及び充電部は、安全上支障のないように保護され、かつ、金属製外箱との間は絶縁されていること。
  • 八 予備電源又は非常電源が附置されていること。なお、予備電源又は非常電源への切替えは、自動的に行い、総合操作盤としての機能に影響が生じないように措置されていること。
  • 九 緊急時に必要な表示部及び操作部は、円滑に取り扱えるように措置されていること。
  • 十 表示部の表示は、明瞭で分かりやすいものとすること。
  • 十一 表示部は、総合操作盤の見やすい位置に配置し、消防用設備等からの信号を受信した場合には、速やかに第五第九号に定める項目を表示すること。ただし、信号を受信した旨の表示をするものにあっては、この限りでない。
  • 十二 操作部は総合操作盤の操作しやすい位置に配置されているとともに、誤操作を防止するための措置が講じられていること。
  • 十三 保守点検時に使用する表示部及び操作部には、その旨を明確に表示し、誤認及び誤操作を防止するための措置が講じられていること。
  • 十四 ガス緊急遮断弁の制御回路に接続される端子は、危険防止用表示カバーが設けられていること。
  • 十五 電源部は、最大負荷に連続して耐えられる容量とすること。
  • 十六 電源に異常が発生した場合において、プログラム等の異常起動がないよう措置されていること。
  • 十七 入力信号及び制御内容に対応した十分な処理能力を有していること。
  • 十八 地震による震動等に耐える十分な強度を有し、かつ、機器の移動、転倒、信号ケーブルの切断等を防止するための措置が講じられていること。

第3 維持管理機能


総合操作盤の維持管理に係る機能は、次に定めるところによる。

  • 一 信号を受信した場合の表示及び記録に関する機能の点検が容易に行えること。
  • 二 総合操作盤の構成部品は、保守点検及び修理の際に容易に交換できるような措置が講じられていること。
  • 三 主要な構成機器に対する電源供給の異常を監視する機能があること。
  • 四 防火対象物の防災に係る固有情報に関するソフトウェアの入力及び変更を行う場合には、当該ソフトウェアの取り扱いに精通した技術者が管理すること。

第4 防災設備等又は一般設備に係る監視を行う設備との兼用


総合操作盤と防災設備等又は一般設備に係る監視を行う設備とを兼ねる場合は、次に定めるところによる。

  • 一 防災設備等(排煙設備(消防用設備等以外のものに限る。)、非常用の照明装置、非常用エレベーターその他これらに類する防災のための設備をいう。以下同じ。)若しくは一般設備(電力設備、給排水設備、空気調和設備その他のビル管理設備をいう。以下同じ。)の点検若しくは修理を実施した場合又は電源遮断等が生じた場合に、消防用設備等に係る監視、制御及び操作に関する機能に影響を及ぼさないように措置されていること。
  • 二 CRT等により表示機能と操作機能とを兼ねるものにあっては、緊急時には消防用設備等に係る動作を優先して処理するものであること。
  • 三 消防用設備等及び防災設備等に係る記録は、一般設備に係る記録と区分されていること。
  • 四 消防用設備等及び防災設備等に係る優先機能は、消防用設備等及び防災設備等の復旧処理が行われるまで継続するものであること。

第5 表示機能


総合操作盤の表示機能は、次に定めるところによる。

  • 一 表示は、CRT表示、グラフィック表示、液晶表示等(以下「CRT表示等」という。)による明瞭で分かりやすい方法とすること。
  • 二 消防用設備等又は防災設備等に係るシンボル等については、別表第一によるものとすること。
  • 三 表示は、消防用設備等又は防災設備等の設置状況及び防火対象物全体の状況を把握できる機能を有すること。
  • 四 火災等の発生状況及び拡大状況を建築物の平面図、断面図等を用いて、警戒区域、放射区域、防護区画等を逐次表示し、平面的な広がり、上下階方向及び防火区画の状況が容易に確認できることとし、その他の表示については、一括して又は個別に表示するものとすること。
  • 五 定位置に自動的に復旧しないスイッチを設けるものにあっては、当該スイッチが定位置にないときは、その旨が表示されること。
  • 六 自動火災報知設備と連動する消防用設備等又は防災設備等にあっては、連動又は連動停止の状態を表示できること。
  • 七 日時を表示できる機能を有し、時刻確認と調整が容易にできること。
  • 八 総合操作盤に対する電源の供給状況を表示できること。
  • 九 消防用設備等ごとの表示項目は、別表第二の上欄に掲げる消防用設備等の種別に応じ、同表の中欄に掲げる項目とすること。ただし、警戒区域、放射区域、防護区画等が互いに重複する場合にあっては、自動火災報知設備に係る警戒区域図を優先して表示し、その他の区域図等にあっては、簡略表示とすることができる。

第6 警報機能


総合操作盤の警報機能は、次に定めるところによる。

  • 一 警報は、警報音又は音声警報音により行うこと。
  • 二 警報音は、他の音響又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができること。
  • 三 音声警報音のメッセージは、簡潔明瞭であること。
  • 四 火災信号を受信した場合には、当該信号ごとに警報を発するものであること。
  • 五 警報音又は音声警報音は、火災警報と消防用設備等及び防災設備等の作動警報との区別及び異常警報等の識別ができるように、音声又は鳴動方法が適切に設定されていること。
  • 六 消防用設備等ごとの警報項目は、別表第二の上欄に掲げる消防用設備等の種別に応じ、同表の下欄に掲げる項目とすること。

第7 操作機能


総合操作盤の操作機能は、次に定めるところによる。

  • 一 操作方法は、使用目的、頻度及び消防用設備等の数に応じ、分かりやすく適切な方法となっていること。
  • 二 緊急時に操作を行うスイッチは、操作しやすい位置に設けること。
  • 三 遠隔操作スイッチには、誤操作を防止するための措置が講じられていること。
  • 四 消防用設備等ごとの操作項目は、別表第三の上欄に掲げる消防用設備等の種別に応じ、同表下欄に掲げる項目とすること。

第8 防災設備等に係る表示及び警報


総合操作盤に防災設備等に関して表示し、及び警報する設備を設ける場合にあっては、次に掲げるものを表示し、かつ、警報を行うものとする。

  • 一 避難施設等

(一) 排煙設備

  1. イ 排煙口の作動
  2. ロ 排煙機の起動
  3. ハ 排煙設備の電源異常

(二) 非常用の照明装置(電源別置型のものに限る。)

  1. イ 電源の非常電源への切替え
  2. ロ 減液警報(減液警報装置を有する蓄電池に限る。)
  3. 二 建築設備等

(一) 機械換気設備及び空気調和設備

  1. イ 火災信号等による機械換気設備及び空気調和設備の停止
  2. ロ 火災信号等による機械換気設備及び空気調和設備が連動停止の状態にある旨

(二) 非常用エレベーター

  1. イ 非常用エレベーターの運行状況
  2. ロ 故障又は休止の状態
  3. ハ 管制運転している旨
  • ニ エレベーターインターホン呼出し
  • 三 防火区画及び防煙区画

(一) 防火区画の構成機器の作動状況

 

(二) 防煙区画の構成機器の作動状況

 

(三) 防火区画及び防煙区画の電源異常

  • 四 その他

(一) 非常錠設備

  1. イ 非常錠の状態
  2. ロ 非常錠の電源異常

(二) ITV設備

  1. イ 主要な居室、避難経路、出火危険の高い場所等の状況
  2. ロ ITV設備の電源異常

(三) ガス緊急遮断弁の作動状態

第9 情報伝達機能


総合操作盤の情報伝達機能は、次に定めるところによる。

  • 一 現場確認の指示、火災状況の伝達、自衛消防隊等と防災監視場所の間の連絡及び消防機関への通報等の情報伝達手段は、防火対象物の用途、規模及び管理体制等に応じたものとなっていること。
  • 二 情報伝達機器は、緊急時の使用に適した設置位置であり、かつ、緊急時の使用環境条件を想定したものであること。
  • 三 館内の利用者及び自衛消防隊員に対する情報伝達能力が十分にあること。
  • 四 防災センター等の防災要員と中央管理室の管理要員との連絡が十分に行えること。
  • 五 内線電話及び消防機関との通話が可能な専用電話機を設置すること。

第10 制御機能


総合操作盤の制御機能は、次に定めるところによる。

  • 一 制御方式は、消防用設備等の数及びシステム機能に応じた適切なシステム構成となっており、かつ、システムを構成する部分の異常又は故障が全体機能の障害につながらないものとなっていること。
  • 二 監視制御の対象となる消防用設備等と総合操作盤の間の故障箇所が容易に確認できること。

第11 記録機能


総合操作盤の記録機能は、次に定めるところによる。

  • 一 消防用設備等及び防災設備等のうち、総合操作盤で表示する火災の情報、防火区画及び防煙区画の構成に関する情報、排煙設備の情報並びに消火設備の情報に係る次の事項については、速やかに印字できること。

(一) 作動した消防用設備等又は防災設備等の種別、日時、場所及び内容

 

(二) 異常が発生した消防用設備等又は防災設備等の種別、日時、場所及び内容

  • 二 記録装置は、記録の漏れ又は誤りを防ぐ措置が講じられていること。
  • 三 印字内容は、火災情報と他の情報が容易に識別できること。

第12 消防活動支援機能


火災発生時に、到着した消防隊に的確かつ早急に情報提供するため、総合操作盤に次に掲げる消防活動支援機能を設けるものとする。

  • 一 CRT表示等に感知器、発信機又はガス漏れ検知器が作動したすべての階の平面図及び当該階に係る次の事項を分かりやすく表示できること。

(一) 作動した感知器又は発信機の位置

 

(二) 作動したガス漏れ検知器の位置及びガス遮断弁の作動状況

 

(三) 防火区画を構成する壁の位置並びに防火戸、防火・防煙シャッター、ダンパー及び可動防煙垂れ壁の作動状況

 

(四) 排煙機及び排煙口の作動状況

 

(五) スプリンクラー設備等自動消火設備の作動範囲

  • 二 CRT等には、次の各階の平面図が簡単な操作により分かりやすく表示されること。

(一) 出火階の平面図

 

(二) 出火階以外の感知器、発信機又はガス漏れ検知器の作動した階の平面図

 

(三) 出火階の直上階の平面図

 

(四) 出火階の直下階の平面図

第13 運用管理支援機能


総合操作盤に次に掲げる運用管理支援機能を設ける場合にあっては、それぞれ次に掲げるところによるものとする。

  • 一 シミュレーション機能

シミュレーション機能(総合操作盤の消防用設備等及び防災設備等に係る監視、操作等の機能等を習得するために監視、操作等を模擬的に行うことができる機能をいう。)については、次のとおりとすること。

 

(一) 消防用設備等に係る表示、警報又は操作に係る機能(以下「主機能」という。)に影響を与えないように措置されていること。

 

(二) 消防用設備等及び防災設備等に係る監視、操作等について、模擬的に情報交換や消防用設備等及び防災設備等の制御を行いながら、防災訓練を行うことができること。

 

(三) シミュレーション機能の作動中に消防用設備等に係る表示及び警報項目に係る信号が入った場合は、通常の作動状態に優先的に切り替わること。

  • 二 ガイダンス機能

ガイダンス機能(総合操作盤の監視、操作等の事項について、操作、措置等に必要な情報を画面又は音声により表示する機能をいう。)については、次のとおりとすること。

 

(一) 主機能に影響を与えないように措置されていること。

 

(二) 消防用設備等及び防災設備等の表示及び警報に係る情報、保守点検の手順に係る情報並びに総合操作盤の使用方法に関する情報を表示することができること。

 

(三) 消防用設備等に係る表示及び警報に関する情報については、他の情報に優先して処理されるとともに、簡便な表示内容で、かつ、分かりやすく瞬時に判断できるものであること。

  • 三 履歴機能

履歴機能(消防用設備等及び防災設備等並びに総合操作盤に係る作動、異常、操作、点検等の履歴情報を記憶し、随時表示又は記録することができる機能をいう。)については、主機能に影響を与えないように措置されていること。

  • 四 自己診断機能

自己診断機能(総合操作盤の機能劣化又は異常の検出等を自動的に行う機能をいう。)については、次のとおりとする。

 

(一) 主機能に影響を与えないように措置されていること。

 

(二) 自己診断機能の作動中に消防用設備等に係る表示及び警報に係る信号が入った場合は、通常の作動状態に優先的に切り替わること。

第14 表示


総合操作盤には、次に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。

  • 一 総合操作盤である旨の表示
  • 二 製造者の名称又は商標
  • 三 型式
  • 四 製造年

 

  附 則

1 この告示は、平成十六年六月一日から施行する。

2 消防用設備等に係る操作盤を設ける防火対象物の要件を定める件(平成九年消防庁告示第一号)、操作盤の基準を定める件(平成九年消防庁告示第二号)、操作盤の設置免除の要件を定める件(平成九年消防庁告示第三号)は、廃止する。